Friday, February 12, 2010

自己紹介・越田

日本側メンバーの越田渓と申します。


慶應義塾大学大学院理工学研究科の修士課程にてバイオメディカル・エンジニアリングの研究を行い、来年より総合商社に勤務致します。

科学技術をバックグランドにビジネスを通して、広く社会に貢献したいという思いから、学部生時代は二年間、ダブルディグリー・プログラムとしてフランスのグランゼコール、Ecole Centraleにてゼネラリスト教育を受けました。


さらに、教授に無理を言って帰国を延長し、世界一愉快な国、ブラジルへ三カ月行って参りました。理由は、BRICsと言われるように経済発展著しいブラジルの現状はどのようなのか、あらゆる人種が混ざり合っている、言わば世界の未来のような国の文化・生活はどのようなのか、ちょうど日系移民100周年ということで自分と血がつながった(?)人々は今どのような思いでどのような生活をしているのかを知りたい・・・そして何よりもフランスで出会った多くのブラジル人留学生が本当にSympaで第二の故郷なのではないかと思わされるくらいの魅力を持っていたからです。


この二つの国でそれぞれ異なる現象、しかしどちらも日本には無いものを見ました。


フランス(おそらくイギリスなどもそうかもしれません)は、日本以上に学歴・階級社会です。一度、厳しい競争を勝ち抜いてグランゼコールに入学すると残りの人生の安泰は約束されています。誰もが彼らをエリートとして認め、彼ら自身もそのような自覚を持って生きていくという構図が成り立っています。


逆に、ブラジル(おそらく中国などもそうなのでしょう)は、貧富の差を乗り越え、少しでも社会的に上位の地位に昇りつめようと努力しています。アパートの同居人たちもテストでもないのに毎日夜遅くまで勉強していました。何よりも彼らから感じたのは、ブラジルを少しでも良くしたい、ブラジルに少しでも貢献したいという思いです。そこには強烈な自分自身に対するハングリー精神、国に対するハングリー精神がありました。


私は日本人ですし、日本が大好きですし、日本に対する責任があるので、日本の悪口をここで言うつもりはありません。ですが、この両国で見た現象のどちらもやはり今日本には欠けています。一流校と言われても、何かが約束されているわけでもなく、社会が本当に彼らを認めているわけでもなく、彼ら自身も全く日本を背負っているという自覚はない。逆に、受験という競争を終えてから、問題意識を持って何かに取り組んでいく学生はまだまだ少なく、ハングリー精神というものが大きく欠けているという事実は否めません。

何も期待されず、社会に対する責任もなく、さらに成熟社会において問題意識、ハングリー精神を持ちにくい状態に置かれている日本の学生たち。


そのような日本の未来に対する危機感の中で出会ったのがSTeLAという学生団体でした。こんなにも日本や世界の問題に対して当事者意識を強く持ち、自ら率先して行動している学生がいたのかという驚き。そして、STeLAを通して、出会った他の学生団体の学生も含め、日本にはまだまだ(いや、今だからこそ)こんなにも意識の高い学生がいたのかということ。それぞれが今は分散して活動し、それぞれが行っていること、その社会的価値というものはまだまだ小さいかもしれません。しかし、一人の力は小さく、一時的な効果は弱いかもしれませんが、これらの個が徐々につながってゆき、長期的に成果を積み上げていく先には必ず今より素晴らしい世界が待っていると確信しています。


その一つの発展が、このD-Labです。


途上国への貢献が絶対的な目的であることに間違いはありませんが、このプロジェクトな何よりも途上国以上に日本(の未来)を救うと思います。

成熟した社会、受験・就活・終身雇用というレールに縛られてきた構造、理系・文系というくくり、海外への抵抗感、起業など前例のない新たなことに対する恐れ、これら多くの問題を抱えている日本の学生達。彼らが、自分たちの技術を活かせる場所を見つける、世界にはまだまだ多くの問題があるのだということ、それらに自分たちが貢献できるのだということに気付く、理系・文系なんて関係なく技術を持ってしてどんどん社会問題に取り組んでいく必要がある、みんなと同じ道ではなく、どんどん世界に出て自ら何かを生み出していくような生き方があると知る、ビジネスとはお金儲けではなく、人々・世界を救うために欠かせない方法であり、もっともっと起業家が日本には必要なんだと知る・・・このプログラムを通して、日本の、それも大学に入学したばかりの可能性に満ちた多くの学生たちがこれらの気付きを得て、日本の教育、社会というものがより良くなっていくことを目指します。

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