Tuesday, December 14, 2010

See-D Innovation Challenge Kick-off event

UTBにも名前を連ねている陸が委員長を務めるSee-Dコンテストの第二部が始まります。
アイデアを持っている方、アイデアを探している方、傍観者、見学者どなたでも楽しめるイベントになっているのでぜひいらしてください。

[告知] 途上国が抱える課題をものづくりで解決するビジネスプランコンテスト

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【アクションのきっかけを探してみませんか?】
★途上国が抱える課題をものづくりで解決するビジネスプランコンテスト
~See-D Innovation Challenge~ Kick-off event開催!
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2010年12月18日(土) 11:00~15:30

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米国NPO コペルニク(http://www.thekopernik.jp/)は、途上国の生活者が抱える課題をものづくりで解決するビジネスコンテストSee-D contest : Innovation Challenge(http://see-d.jp/seediw.html)を開催します。

このコンテストでは、ものづくり/ビジネスのアイデアを持つ人、その実現をサポートしたい人が集まり、自由に意見交換をすることからKick-offします。

本イベントでは、まず、先にSee-D contestの主催で行った東ティモールスタディツアー参加者と、既に途上国で先進的な取り組みを進められている日本ポリグルの小田会長との対話を通して、
 ・ 途上国の人々はどんな生活をして、どんな課題を抱えているのか?
 ・ その課題を解決するには、どんなものづくりをすればいいのか?
 ・ それを現地に普及させるには、どんな仕組みが必要で、何がポイントになるのか?
をみなさんに共有します。

そして参加者同士が自由に交流し、お互いにできることを見つけていけるための場を準備しています。

世界を変えるタネ(SeeD)を一緒に育てませんか?
ご参加をお待ちしています。

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★イベント概要★
【日時】12月18日(土) 11:00〜15:30 (10:30開場)
【場所】ビアヴァーナ
 http://www.biervana.com/
 住所 千代田区永田町2-13-10 プルデンシャルタワー 1F
 TEL 03-3502-6500
【参加費】社会人: 2,000円、学生: 1,000円 (飲料・軽食込)
【申込方法】申込フォーム:http://ow.ly/3mCNt

【対象者】

・途上国の社会課題解決に向けた技術を使ったアイデアをお持ちの方
 ※募集要項等の詳細は(http://see-d.jp/seediw.html)を参照ください。

・アイデアを持っているがそのアイデアを事業家に受け渡して実現して欲しいと思っている方

・途上国の課題解決に向けて、何か自分のスキルを発揮してみたい方

・途上国の課題解決に向けて、自分にできることを見つけたい方

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【タイムスケジュール】
●11:00 - 11:40 説明会:

See-D Innovation Challenge のコンセプト、募集要項、応募方法、賞・審査基準、サポート内容等を説明します。

●11:40 - 12:40 座談会 ”途上国の生活者が求めるものづくりとビジネスとは”:
東ティモールの人々の生活と課題、それを解決する技術・実現方法について、現地スタディツアー経験者と、ビジネス構築経験者(日本ポリグル 小田会長)との対話を通して、共有・議論して頂きます。

- ご歓談 -

●自由交流セッション
13:10 - 14:10 プレゼンテーションセッション:
アイデアを持つ参加者は、3分間程度のプレゼンテーションを行うことができます。
自由な意見交換を通して、インスピレーションを高めてください。

14:10 - 15:10 ネットワーキングセッション:
プレゼンテーションや掲示されているエントリーシートを参考に、参加者同士で自由に意見交換をします。

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★ See-D Innovation Challengeとは・・・
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See-D Innovation Challenge(http://see-d.jp/seediw.html)は、途上国の生活者が抱える課題を、日本の技術力が生み出す製品・事業によって解決することを目的として立ち上げられたものづくり+普及実現のコンテスト、See-D contestの第2部に当たります。

See-D contestは以下のような3部構成となっており、今回はいよいよ製品を現地に普及させるプランをオープンに募集します。

★ See-D contestの全体像
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● 第 1部 See-D Innovation Workshop
「人間中心」デザイン手法を利用したニーズ特定と製品アイデア創出10月23日に実施された成果発表会の様子はこちら
http://see-d.jp/seediw-part1.html

● 第2部 See-D Innovation Challenge
製品とそれを普及させるためのアイデアプランコンテスト
※ 第1部の参加是非に関わらないオープンなコンテストです。

● 第3部 See-D Incubation
See-D Innovation Challengeの優秀チーム案の実現サポート

★ See-D Innovation Challengeの概要
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この第2部 See-D Innovation Challengeは2段階審査方式になっており、応募チームは「ビジネス」・「DIY(製造方法の提供)」2部門の好きなほうにプランを提出(1次審 査)し、その後メンターとの対話を通じて普及プランをブラッシュアップ、最終審査に臨みます。

※ 募集要項等の詳細は、Webページ(http://see-d.jp/seediw.html)を参照ください。

■■■以上、みなさまのご参加をお待ちしております!■■■

Monday, December 13, 2010

How to make (almost) anything最終発表会

遠藤です。
今日、FabLabで有名なNeil Gershenfeld教授が教える授業、How to make (almost) anythingの最終発表会がありました。

How to to make (almost) anythingとは、その名の通りあらゆものを作るために、Media labのマシンショプの中の機械や加工機をの使い方を学び、最終的にはじぶんの好きなものを実際に作る授業です。

ぼくが個人的に気に入ったものをいくつか紹介します。

まずはMatt BlackshawのCube。一見ただの木箱ですが、光ります。個人的にLEDの光をうまくつかった作品が好きで自分でも何個か作品を作ったことがありますが、木の板の表面が光るという感覚がいままでになかったので、非常に新鮮でした。光がきれいに見えるように、LEDが配置されている部分をドリルで薄くしてあります。





つぎにぼくが作った途上国向けの義肢装具プロジェクトで一緒に授業を来年から教えるDavid SengehのSoil Battery. Soil-based Microbial Fuel Cellと同じ原理のものをhands-onで作って実験をしたといっていました。彼はmedia labに唯一のアフリカ出身(シエラレオネ)の学生です。
IMG_3327


今回非常にきれいに仕上げたなーと感心してしまった作品がAdam Setapanの電子チェロ。



彼のwebsiteを見てもわかる通り、細部まできれいに仕上げており、見せることをしっかり考えて設計しているという印象でした。本体からのぞく携帯の画面もいい感じです。まだ完成はしていないらしく、弓の部分に加速度系がついていて、音のエフェクトをコントロールするのにつかったり、磁石のピックアップもまだつけていないらしい(いまはピエゾだけで音を拾っている)ので、今後の広がりも期待できそうです。

そして忘れてはいけないのがFablabJapan田中浩也先生



IMG_3326

実はこの前日に電話があり、ウォータージェットを手伝ってほしいといわれて見に行くと、疲れきった田中先生が「数時間前にやっとうごいたんだよー」といってこのFabturtleを見せてくださいました。全方位に動く亀ロボット(?)をつかって紙の上を動かせて絵を描かせるというようなデモをされていました。これを使えばどんなに大きな絵も紙に書くことができるし、ドリルやカッターを装着させれば、描くだけでなく、紙や段ボールをきったり穴をあけたりすることもできるようになるとか。


最後に田中先生にインタビューをしました。3日間寝ていないらしく、若干しどろもどろですが、その顔からは達成感と満足感が伝わってきました。本当におつかれさまでした。



Friday, December 10, 2010

The Boston Pledge Annual Conferene

遠藤です。
先日Tuft Universityで行われたThe Boston PledgeのAnnual Conferenceに参加してきました。The Boston Pledgeとはボストン界隈の自主的な社会活動を支援するインキュベータ。Entrepreneurship Springboard ProgramやRural Enterprise Developmentといったイニシアティブがあるようですが、今回参加イベントは年に一回行われる決起会(?)のようなイベントでした。

このイベントの情報は国際開発系のメーリングリストに流れてたものです。以前Tuftで行われたイベントの時にお会いしたGosh先生が、実はこのThe Boston Pledgeのfounderということを初めて知りました。Gosh先生は以前マキンゼーでパートナーをされていた方で、現在はTuftで教鞭をとっており、またD-labの学生がお世話になっているMITのLegatum Centerでもメンターをされている方です。



"Pay it forward
Harnessing the Micro-movements in an Era of Economic Turbulence"
と題して始まったこのイベントは、Micro-mentoring, Micro-finance, Micro-ventureの3つのボトムアップアクションをMicro-movementと定義し、これらの分野で活躍するローカルの人を結びつけることを目的としているそうです。

今回忙しい中参加した一番の目的はMillemium Development Goalで有名なJeffrey Suchs教授に会えると思ったから。残念ながらSuchs教授はアフリカにいらっしゃるとのことでビデオでの出演でした。映像がYoutubeにアップされていました。


Suchs教授の話は、MDGについて、Millenium Villageの進捗について、参加者へのメッセージがあっただけで、個人的にはあまり新しい話はありませんでした。

Millenium Villageとは、KenyaのSauriやEthiopiaのKoraroのようなアフリカのいくつかの村をピックアップし、MDG達成ののために5年のスパンの中で、農業の技術支援や医療•教育機関などを提供して、村の住民が貧困層から抜け出させるためイニシアティブです。国際機関でありながら、従来の国際開発とは異なり、ボトムアップかつ現地の人主導の問題解決のアプローチを特色とし、このプロセスが他の地域でも適用できることも売りにしています。

参加者へのメッセージの中には、「Millenium Villageに興味があれば連絡をくれ」というようなことをおっしゃっていましたが、本当に直接コンタクトをとって返事がくるのでしょうか。いい義足プロジェクトのアイデアがまとまったらメールでも送ってみようと思いました。

ほかにもいろいろなスピーカーがいらっしゃいましたが、Jeffrey Suchs教授に会えなかったのが残念すぎて、あまり頭に残りませんでした。また、Harnessing the micro-movementsとあったのに、参加者のほとんどがTuftの学生というのが残念です。Gosh先生とも直接話す機会がちょっとだけありましたが、ぜひMITのD-labとのコラボが生まれるようなイベントができたらと思いました。

Thursday, December 2, 2010

「世界を変えるものつくり」(D-Lab@Keio)(第9回)

慶應大学での授業も既に9回目を迎えました!
(CAD演習、東大・新井先生のプレゼン講義、中間発表はblog更新しておりません・・・)

履修生はそれぞれ決めたテーマを元に調査、アイデアのブラッシュアップを進めているところです。

本日は、大きく
・生活に関するテーマ:建築、住宅、交通、流通
・インフラ、エネルギーに関するテーマ:ソーラーエネルギー、ランタン、燃料、ガス
・その他:病気診断・予防、子供の労働と教育について
などにわかれ自分たちのアイデアを掘り下げるためにディスカッションを行いました。

学生は皆、自分たちが対象とする国、地域(ラオス、レソト、バングラディシュなど)について良く調べアイデアをより具体的、現実的なものにすべく準備を進めていました。

ディスカッションの中で聞かれたものは、
・大きなインフラを整備するとして、その国の政府主導でやるのか、海外資本、他国政府の力で行うのか。
・ソーラーパネルを設置したとして、使い道は?どのように電力消費地まで運ぶのか?水処理などに用いるとして今よりも果たして効率的になるのか?
・廃棄物からガスを生成するとして、どのように一般家庭に共有するか?コストはどれくらいで、それは家庭で支払えるものなのか?
・病気の診断、治療だけでなく、いかに予防するか、早期発見して治すことができないか。
・新たな医療システムを考えるとして、そこにはどんなリスクがあるか。
・子供の労働時間を減らし、教育により専念できるような仕組みを考える上で、どのように経済的な問題を解決するか。それまで子供が担っていた分の仕事はどのように補うか。学校で働けるような仕組みを作るか、何か耕具などを生み出し子供の労働時間を減らすように取り組みか。

など、学部1、2年生とは思えないような深い考えが出てきました。

そして、口ぐちに聞かれたのは、「実際に、街、学校の仕組み、生活環境はどのようになっているのか。どのような病気が多いのか。どれくらい医療制度は不十分なのか。どれくらい子供が働いている場所と学校は離れているのか。”そのような現実を見るために、ぜひ実際に現地に運んでこの目で見てみたい”」というものでした。

数か月前まで漠然と途上国に関心を持っていたか、ほとんど考えたこともなかったような学生達が、実際に何か一つ問題を選び、その解決のためにアイデアを考え、自ら現地について調べ掘り下げていく。そして、いかに自分の目で現地の様子を見ることが大切かということを知る。
残り三回となった日本初の途上国向け適正技術の授業ですが、最後に学生からどのような発表が聞けるかが楽しみでなりません。

Wednesday, November 3, 2010

FABLAB @ Tokyo Designers Week

すっかり広報活動に徹している鹿野です。今は秋の京都に向かっています(ちなみに今は名古屋)。

さて、昨日が最終日であったTOKYO DESIGNERS WEEK。入り口から少し入ったところにあるコンテナーの一角に我々の姉妹プロジェクトとも言うべきFABLABが出展していたので、ちょっとだけ見てきました。

会場は、ナビスコカップ決勝にわく、国立競技場。
そして、早慶戦の行われた神宮球場。そんな中、終了1時間前に会場に到着(ちょうど、早稲田の優勝パレードの列に巻き込まれてしまいました)。それでも、まだまだ熱気がこもる会場内でした。
 そして、FabLabも大盛況。ワークショップで使われたコンセプトボードが掲げてあり、Ustreamで見るのと実際はやっぱり違うのだと感じました。
実は、この前に数分たって、周りの人の反応を聞いていると・・・
「もの作りの新しい形だって・・・なんだろうねぇ・・・」
とか
「3Dプリンターをじっくり見たいけど、混んでるなぁ」
とか
「どこまで出来るのかな?」
とまだまだこれからの発展過程を見守っていこうという反応が多かったのが印象です。これからも引き続き、見守っていただければ幸いです。そして、ゆくゆくはご参加ください(笑)

Tuesday, November 2, 2010

U to B な二人

昨日、MIT Media Labにて グラミン銀行のIT部門でインターンをしている早稲田大学休学中の三好君とHarvardの日本人大学生である小林君、同志社女子大学から現在MIT Media Labにて研究をなさっている上田先生遠藤、土谷、でUTBの中の「U」と「B」それぞれに関してミーティングを行いしました。

U担当は 小林君。

自分で必死こいて考えてきたネタをプレゼンしていました。一年くらいじっくりと練っていたネタで、皆でどんどんと構想が膨らんでいき、皆、一様に大学の新しい姿とは何か?そもそも学びとは何か?といった基本的な問題にまで立ち返っての議論。

新しい形を必死に熱弁する姿に心を思わず打たれてしまいました。
皆でわいわいとブレストしている感じで進むところが非常に良かったと思いますし、まずはその熱意を聞いた上田先生も熱弁を振るいます。かっこいいムービーまで即興で作ってもらいました。
そして、土谷も歴史的転換にあるという認識に関する持論を展開。
夕食を食べながら非常に有意義な会になりました。

そして、次はB側。こちらは三好君の担当。
自分の自己紹介ということも含めて、プレゼンをしてもらい、そもそものきっかけやこれから彼の目指しているものを皆で共有。
遠藤も、途上国開発の土着のビジネスに関して熱弁を振るいます。
今日一日だけで大変濃い一日なりました。部屋はとても寒かったですが、議論は白熱していたのが特徴です。大変有意義な一日になりました。しかし、これからが本番。面白くするのはこれからです。

当の私、鹿野は現在、ボストンローガン空港。本業で、京都に少しだけ滞在します。

Sunday, October 31, 2010

新しい財団の形?

先週の日曜日(10月24日)にCANPANプロジェクトをやられている町井さん、日本財団の菅さん、金子さん、香港中文大学で藤崎さん、スタンフォード大学に籍を移した陸(必死に中間試験の勉強をしていました)(ここまではボストンキャリアフォーラム関係でボストンにいらっしゃった方)、ボストン側からのFablabの田中先生、遠藤、土谷と私(鹿野)でMIT Media Labにて、Media Labの中の見学をしました。

写真は、遠藤の所属するLabにて自身の研究している最先端の義足を説明している風景の一こまです。

次の写真は、こちらは途上国向けに送っている義足の説明をしているところです。
皆、一様に目を丸くしながら見ていたのが印象的でした。
この後、私は荷物番でしたが、Fablabの工房であるマシン工房も見学されました。一通りMedia Labの見学を終え1時間強。大変有意義な見学となりました。

初めてMedia Lab.に来た日本財団のお二方、藤崎さんは目が点。特に藤崎さんの目がキラキラと輝きながら見ていたのが印象的でした。

見学の模様は、CANPANプロジェクトの町井さんのブログにも紹介されております。

その後、1時間くらいで皆さんの自己紹介をし始めたら、これが皆さん面白い経歴をお持ちで盛り上がり、その後、日本の財団のあり方について議論をしました。
どういう形が良いだろうか・・・
あれやこれや・・・・
まだまだ、ブレインストーミングの段階で今回は時間が来てしまいましたが、 何か面白そうなことが始まりそうな予感がしてなりません。これからの進展に注目です!!

Thursday, October 28, 2010

「世界を変えるもの作り」(D-Lab@Keio)第五回

今日の「世界を変えるもの作り」は、ロールプレーを行いました。

先進国から途上国への技術移転をテーマに、学生は、政府、企業、投資家、大学教授、環境活動家などを演じ、途上国開発、技術移転の問題の複雑性、どの様なステークホルダーがいるか、それぞれがどのような利害関係を有しているか、そのような中でコンセンサスを取ることがいかに難しいかなどを学びました。

現実から少し離れた設定に戸惑う(設計者へ批判が出る…?)場面があったり、役割になりきり自らのプレーしている役割の目指す方向へ向けて交渉を進める難しさを体験しつつ(簡単に自分の持っている情報を人に見せてしまったり、ロールプレーではなく、全体でのディスカッションのようになる場面もしばしば。)、最後には、

途上国が弱すぎる
企業が強すぎる
競合企業が現実では存在するはず
大学教授、環境活動家などはどれくらい現実では発言力、影響力があるのか
投資家として外部からの情報整理と判断が難しかった


など積極的に感想、意見、フィードバックが上がりました。

授業で取り扱う途上国開発、そこには多くのステークホルダーが存在し、全体でのコンセンサスを取るのは極めて難しく、また現実的な問題としていかに膨大な資金を集めるかという問題が出てくることもあるということ。

さらに、これら途上国の問題解決を目指すには、決して国際機関、開発系の仕事につかねばならないわけではなく、多くの立場からこれらの問題に取り組めるということ、取り組まねばならないということを学んでもらえたでしょうか。

Wednesday, October 27, 2010

Fablab Japan@東京デザイナーズウィーク

遠藤です。
UTBと姉妹プロジェクトといっても過言でないFablabJapanの紹介です。MIT発のプロジェクトが日本に上陸して現在非常に注目を集めております。

以下websiteより転載

FabLabとは

FabLab( ファブラボ ) とは、3次元プリンタやカッティングマシンなどの工作機械を備えた一般市民のためのオープンな工房と、その世界的なネットワークです。「Fab」には「Fabrication(ものづくり)」と「Fabulous(愉快な、素晴らしい)」という2つの意味が込められています。

MIT(マサチューセッツ工科大学)教授ニール・ガーシェンフェルドがその著書「Fab: The Coming Revolution on Your Desktop-from Personal Computers to Personal Fabrication 」(日本語版:「ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け」) で実例を紹介して以来、現在までに30ヵ国以上で FabLab が立ち上がり、子供から専門家まで、DIWO(Do It With Others) の精神で連携しながら、自由にものづくりをする活動が始まっています。Fablabを愛好する人々は、Fablabber/Fablover(ファブラ バー)とも呼ばれています。

開かれた施設であるFabLabの目的は、教育、社会貢献、街づくり、ビジネス、町工場の再活性化から先端研究、芸術表現までさまざまです。近年は 特に、グローバルな情報共有と、ローカルな問題解決の両立が志向されており、それぞれのFabLabが国や地域の特徴を活かした、それぞれの状況にあった 独自の展開を始めています。


そのFablab Japanですが、今週末から始まる東京デザイナーズウィークにFabCafeなるものを出展することが決まっています。私遠藤も請謁ながらシンポジウムに参加させていただくことになっています。ものづくりの新しい形を提案していくこともさながら、アプリケーションとしてSee-DコンテストやUTBとも親和性の高いFablab Japanに今後も注目です。

TOKYO DESIGNERS WEEK2010「くらしと環境のデザイン展」

会  期:10月29日(金)~11月3日(水・祝)
開場時間:11:00~22:00(最終日11:00~18:00)
会  場:明治神宮外苑 中央会場(〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町2-3)
アクセス:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩8分
     青山一丁目駅(地下鉄銀座線/半蔵門線/大江戸線):徒歩5分
     外苑前駅(地下鉄銀座線):徒歩5分
     国立競技場駅(地下鉄大江戸線):徒歩7分
     信濃町駅(JR総武線・中央線):徒歩7分

主  催:NPO法人デザインアソシエーション
後  援:経済産業省

チケット:当日券 1回入場券:2000円(中学生以上)
     前売券 1回入場券:1500円(中学生以上)
     http://www.tdwa.com/ticket.html

シンポジウム「ソーシャル・メディアがもたらすオープンソース・デザインの可能性」

久保田晃弘 Akihiro Kubota (多摩美術大学 Tama Art University)
田中浩也 Hiroya Tanaka (慶應SFC/MIT)
遠藤謙 Ken Endo (MIT D-Lab)

日時:2010年10月31日(日) 16:00〜19:30
場所:環境テント スーパースタジオ
概要:情報と物質、素材と加工、そしてつくることとつかうことが一体化したデザインの未来を、さまざまな観点から探ります。

Tuesday, October 26, 2010

See-Dコンテスト最終発表会

UTBの姉妹プロジェクト、See-Dコンテストの最終発表会が10月23日にGRIPSで行われました。
See-Dとは今年の8月30日のキックオフイベントから始まった東ティモールの非電化地域をターゲットにしたデザインコンテストです。

最終発表会の様子はこちらのustreamでみることができます。



以下チーム名とプロジェクト名です。
The 男塾 Link Watt
充電ユニットを持つキックボード

ティモレインジャー Rain Jar
雨水を生活用水などに使う為の貯水システム

東景  Pumpy Ice
空気入れ8本をつかった非電化アイスづくり

wanic inc. wanic kit
ヤシをつかった酒づくりキット

Suny Side Garage Suny Side Go
Legoのようなおしゃれコンテナ

Lorosae creative 簡単揚水ポンプ
誰でも作れる低コストの簡単揚水ポンプキット

team テクノプロ KARI•KARI
電気を使わない印刷機


私遠藤は事前講評者だったので、事前に各チームの活動を一枚づつにまとめた資料をもらい、コメントを送っていました。その資料が実は情報量が少なく、正直どんなプロダクトがでてくるか不安でしかたありませんでした。その予想は見事に裏切られ、どのチームもすばらしい発表内容でした。フィールドトリップを経験したこともあり、どのチームも現地の人、材料、技術を意識したプロダクトを作っていました。なによりも、技術よりも実際に使う人にフォーカスしていることが伝わってきました。おそらく、ビジネス性を重視している方はその技術が何人の人を助けるのか、あるいはどれだけの経済効果を期待できるのかという数字を気にする方も多いかと思います。一方でSee-D参加者は、フィールドトリップで数日を過ごした村の人たちの生活を助けることをまずは考えていたと思います。D-labもそうですが、このようなボトムアップ型国際開発は1つの村から村へ連鎖的に広がっていくものです。D-labが伝えたかったのは、頭でっかちのビジネスや援助ではなく、こういったface to faceの対話だったで、こういった形のプレゼンが見れたのは感無量でした。See-Dのプロジェクトが今後どのように展開していくのが非常に楽しみです。

ぜひ、お時間があればすべてのチームの発表をみてください。

最後に、オーガナイザの皆さん、参加者のみなさん、本当におつかれさまでした。そしてこれからもがんばりましょう。

Sunday, October 24, 2010

「世界を変えるもの作り」(D-Lab@Keio)第四回

「世界を変えるもの作り」 TAの越田です。

いよいよ慶應大学での「世界を変えるもの作り」も第四回目となりました。

今回は、学生のみなさんに、これまで三回目の授業を通して感じたこと、学んだこと、そしてそれまで持っていた問題意識などを元に、これからこの授業を通して考えていきたい問題、実現したいことを発表してもらいました。

ビジネスとしての継続性と森林伐採、子供の労働、煙による子供の病気などの問題の解決に着目し、"Design for the Other 90%"の畑から作る燃料の改良として、他の原料でもこのような炭を作れないかを模索する学生。

交通事故が多い途上国において、いかに交通システムを改善するか。
(しかし、交通事故が多いのは、道路の設計の問題か、信号などがないからなのかげ、現地人のモラルの問題なのかをもっと考える必要があるというするどい意見も。)

神戸震災の経験を元に、当時、道路の崩壊などで救援物資が届かなかったことから、途上国でも同じような状況だと想像する学生。物流の重要性から、いかに途上国の物流、交通インフラを良くするかを考える。

すでに広く用いられ始めている太陽光発電ランタン、これをさらに有効に幅広く使用するにはどうするべきか。
(先生、学生からは、シリコン系のパネルは紫キャベツの色素で発電する、や、インドでは人の髪をパネルに挟んで発電する技術もある、などというアドバイスもあり、どのように太陽パネルを安価に途上国で生産できるかを考えるのも興味深い。)

世界で10億人と言われるスラムの人口。そのスラムにおいて、大がかりな工事などをするのではなく、いかに伝染病予防などにもなる”衛生な”生活を実現するか。そして、そのような快適な生活を実現することで生活者のメンタリティー、ライフスタイルの改善にもつなげたいというアイデア。

熱帯地域でかつエアコンなどを取り付ける余裕のない家庭において、いかに快適な生活を送れる家を安価に建築するか。日本で一番安い家を建てるのにも500万円かかる中、それをどこまで下げられるかを模索する学生。

貧困を救うには教育が最も重要だと、前回の遠藤さんの講演を聞いて感じた学生。しかし途上国の多くの子供は労働に使われる時間が多く、教育に多くの時間を割けない現状もある。いかに労働環境、労働力を改善して、子供の労働時間を少しでも減らし教育に力を入れられないかを考える学生。

キッチンで出る有害な煙による子供の病気なども多発している。しかし、煙辞退には虫よけなどの効果もあるという。いかにして、”有害でない”煙を出すか。そのためにはバイオガス(生き物の排泄物やゴミなどのガス)を利用できないかという考え。

広大な地域に巨大な太陽光パネルを設置して、都市での発電に役立てられないか。
(しかし、日本の商社など、世界の広大な地域に次々と太陽光パネルを設置する動きも既に存在する・・・)

安全な水をいかに普及させるか。既にライフストローなども存在するが、いかに特別な樹脂などを使わずにそのような製品を作るかということを考える学生も。

貧困国での衛生に着目し、医療費が高いせいでまともな医療を受けることができない人々が多くいるという現実。病気の検査キットなどを現地の素材を用いて製品化することはできないか。

などなど、まだまだ学部1、2年生とは思えないような問題意識の高さと、そのような学年ならではの、斬新なアイデアが出てきました。
また、学生どうしや先生、TAからも建設的な意見が加わり、議論は盛り上がり、よりリアリティーのあるアイデアに近づいていきそうな予感。

さらに、多くの課題、アイデアはそれぞれ密接につながっており、またエネルギー、建築、輸送など連携して取り組めそうな課題もあり、個人個人で考えを進めるのではなく、全体として、問題意識を共有し、その解決のために知恵を絞り協力していく流れになっていくと面白いなと思いました。

今学期終りまでに、学生たちがどれだけアイデアを現実的で深いものにできるかが楽しみです!

Monday, October 18, 2010

Emerging Market Innovations

遠藤です。
数日前、25周年を迎えたMITメディアラボでスポンサー向けのイベントが開かれました。メディアラボでは毎年二回スポンサーをラボに迎えて、研究のアップデートやオープンハウスを行っています。今回のイベントは25周年ということもあり、いつもよりたくさんのスポンサーや卒業生がラボに集結しました。

その初日のイベントの中で、D-labのDevelopment Ventureの講師をしているJoost Bonsen氏といっしょに「Emerging Market Innovations」という名前のワークショップを開きました。メディアラボといえば、未来志向の新しい技術を思い浮かべる方が多いでしょうが、このワークショップに部屋に入りきれない程の人が参加してくれました。

ワークショップではEmerging Marketを

• Growth Sectors ~ BRICs-Plus, the “Rest” of Us
• Beyond CSR ~ Markets Beyond Charity
• Predictive Microcosms ~ See Future First in Living Lab testbeds – e.g. M-Pesa/M-Commerce, Penny Diagnostics
• Reverse Innovation ~ From Developing to Global – e.g. Microfinance, WoundPump, Mobile Payments
• Ultra-Affordability ~ Unique Design Constraints
• Technology Leapfrogging ~ Crowd, Cloud, Mobile, Digital, Distributed, Flexible, and more…
• Leverage Brand & Assets ~ Intrapreneurial Opportunities for Established Firms

のように定義し、さらにMedia labやD-labから誕生した以下のようなプロジェクトを紹介しました。
この日はAssured laborからSiddhartha Goyal氏、Click DiagnosticsからTing Shih氏を迎え、参加者を交えた激しい議論が続きました。その中でも参加者の一人が議題に挙げたビジネスモデルのプロテクションに関しては、さまざまな意見が飛び交いました。上記にあげたビジネスのほとんどがシンプルかつイノベーティブであるが、簡単にまねができる。しかし、モデルは単純だが、モデルを実行するためには現地のコネクションや信頼、製品やサービスの流通ルートなどは自分たちで切り開くものであり、こういったものは簡単に真似はできないといった返答をしたのはShihでした。

ワークショップ後にはSiddharthaからAssured Laborのモデルについていろいろな話を聞きました。というのも僕の義足を展開するモデルには義足と同時に職を与え、その収入の一部から義足の原価を回収を考えているからです。Assured Laborはニカラグアでの事業をはじめており、我々もニカラグアでのプロジェクトを控えているので、今後の協業が期待できそうです。

Thursday, October 14, 2010

「世界を変えるもの作り」(D-Lab@Keio)第三回

「世界を変えるもの作り」(慶應・日吉)TAの越田です。

第三回目のゲストスピーカーは、遠藤啓太さん(株式会社フジセキ代表取締役)です。

遠藤さんは、慶應義塾大学理工学部機械工学科をご卒業後、アメリカへ渡られ、その後日本で広告代理店に勤務の後、現在は、(株)フジセキにて代表取締役として勤めておられます。

そんな遠藤さんは、本業として、ガソリンの販売やガソリンスタンドの経営をする傍ら、日本青年会議所(JCI)で活動なさっています。

本日は、そのJCIの活動として、ミャンマーサイクロン被災地での学校建設とアフリカでのマラリア撲滅運動の経験談をお話して頂きました。

途上国とは何か?
何が途上なのか?
という問いかけから始まった授業。

戦後の日本と現在のミャンマー、カンボジアなどとの比較。

アフリカ原住民やミャンマーのお母さんでもみな携帯電話を持っているという現実。

途上国への導入の後、遠藤さんは、JCIでの活動の実体験を通して、「なぜ、支援ができたのか?」「途上国支援に必要なことは何か?」をお話してくださいました。

ミャンマーにおいては、サイクロン発生から学校建設着手まで、二年間に渡って、現地調査と募金活動を続けた。そして、建てるからには使ってもらえるものでなくてはならず、先生はちゃんといるか、親御さんは教育熱心か、現地で協力してくれる人はいるか・・・そのような観点から学校建設に最も適した場所を見つけ出しました。
成功要因は、現地での協力者と先生を確保できたこと。

続いて、アフリカでのマラリア撲滅活動について。
世界で子供の労働が多い10の地域のうち9つはアフリカであることや、HIV感染率、出版数、教育に関する数字、そしてマラリア感染者の数などを学生と共有しました。
マラリアの感染者は世界の人口の半分にあたる33億人にも上るという現実に驚く学生たち。
そして、遠藤さんはそのようなマラリアのアフリカでの撲滅活動に際しては、多くの手段がある中、いかに現地の人にマラリアは問題だと思わせるかということを重視していたと仰っていました。

途上国支援の成功要因、それは、
・持続可能なシステム
・目標達成のための最低コスト手段
・メンテナンス不要
・スポンサー獲得
・国民への意識付け
だと述べられました。


授業最後には、学生からも、現地調査や募金などに関して積極的に質問も上がりました。
失敗談も含めて、実体験を学生に披露してくだった遠藤さん。
機械工学科を卒業して、経営者として活躍する傍ら、途上国開発に尽力される遠藤さんのバイタリティー溢れる姿から、学生たちも多くの可能性を感じ取ったのではないでしょうか。

Sunday, October 10, 2010

「世界を変えるもの作り」(D-Lab@Keio) 第二回

越田です。
慶應義塾大学でのD-Lab授業第二回の報告です。

今回の授業は、MIT D-Labでも授業の導入などで扱われている世界の現状に関するクイズ形式で行われました。

・一日1ドル以下で生活をする人は何パーセントか。

・世界中でどれだけの人が安全な飲料水を手に入れられないか。

・アメリカ、インド、メキシコ、ハイチで1000人あたり何台のPCが存在するか。

・アメリカ、中国、ブラジル、ハイチで都市に住む人の割合はどれくらいでしょうか。

などなど。

全く考えたこともないような問題に頭を悩ませる学生たち。
直感、想像、勘、ロジック、知識を駆使していろいろな問題に答えてもらいましたが、実際の世界の現状は学生たちの想像していたものと異なり驚く場面も。

例えば・・・
・レソトの平均寿命は1990年(57歳)に比べて、2006年ではHIV感染などが原因で35歳まで下がっているという事実。

・5歳以下で死亡する子供の主な原因は、マラリア、衛生などよりも、燃料燃焼や換気不足(つまり簡単な技術、対策で対処可能なこと)による急性呼吸器感染症であること。

・IT大国のイメージのインドでも、PCを保有している人は本当にわずかだけ(1000人あたり7台)。

・ブラジルやメキシコでは、都市に人口が集中するも仕事がなく、都市がスラム化しているという現実。

改めて、このような世界の現状について考えた学生たち。世界は自分たちが想像していたものと異なっていたか。途上国の現状は、自分たちが想像していたものとどのように違ったか。自分たちはどれだけ恵まれていたか。自分たちは世界のその現実にどのように貢献できるか。


授業最後では、これからの途上国開発やBOPに関する説明。
「援助」から「投資」へという世界の動き。
先進国市場向けの技術開発、先進国内での消費、それによる経済成長というサイクルで回っていたものに、途上国での生産、消費が加わり、途上国も含めた経済成長を目指す動き。
BOP(Bottom of Pyramid)ビジネスにより、ピラミッドはいつか逆ピラミッドになるのか?
(学生からは、「逆ピラミッドにはならない。上と下が広がる鋳型のようになるはず」という意見も)

そして、途上国における開発支援と女性の自立を目指した、ヤクルトのヤクルトレディに見られるような、日本企業の途上国開発への取り組みの紹介。

株主利益を優先し、株価の上昇を目指す従来(欧米?)型の企業経営の限界が注目される現在、古来から商売とは「売り手」「買い手」「社会」の幸福につながるものでなくてはならない(近江商人)と考えてきた日本人がBOPビジネスのような新しい価値観が注目される時代に果たせる役割とは何か。

世界の課題について改めて考え、その現実(のほんの一部)を知り、その中で日本人、日本企業が果たせる役割、可能性について学んだ90分でした。

来週は、いよいよ実際に途上国で学校建設などを営む活度をしている、遠藤啓太氏の登場です!

Thursday, October 7, 2010

See-Dコンテスト第一部最終発表会

10月23日に以前もこのブログで紹介したSee-Dコンテストの第一部の発表会が行われます。
See-Dコンテストwebsite

7/31のキックオフイベントから始まったSee-Dコンテストですが、参加者は東ティモールのフィールドトリップやさまざまなワークショップに参加し、すばらしいアイデアの実現のために一生懸命がんばっております。参加希望の方はsee-dのwebsiteから登録をおねがいいたします。


【日時】 10月23日13時~17時
【場所】 政策研究大学院大学1階 想海樓ホール・会議室(アクセスはこちら
【プログラム内容】 13:00開場
13:00~13:30 seeD参加チームの展示@会議室
13:30~15:30 seeD参加チームの発表@ホール
15:30~17:00 seeD参加チームの展示@会議室
17:00閉場

※プログラム内容は調整のうえ、変更となる場合がございます
【参加定員】 200名
【参加費】 一般参加者:1千円
(WS参加者は無料)

Thursday, September 30, 2010

D-Lab@慶應大学スタート!

越田です。

慶應大学で9月30日、いよいよD-Labライクな授業、「世界を変えるもの作り」(毎週木曜日3限、日吉キャンパスJ417)が講師:竹村研治郎先生(機械工学科)、TA:越田渓でスタートしました!

20名弱の少人数授業ですが、学生たちも
・ものづくりに興味があったから
・国際関係の仕事をしたいから
・途上国開発に興味があり、将来途上国のために仕事をしたいから
・世界の中の日本の現状を理解し、途上国に貢献したいから
・デザインに興味があるから
・関心を広げたいから
・プレゼンスキル、ディスカッションスキルを磨きたいから
と様々な目的意識を持って授業を履修していました。

さらに、慶應メディアデザイン研究科(KMD)徳久悟先生、SFCの学生、矢上の学生も聴講に遥々聴講に来てくれました。

自己紹介をして、なぜ理工学部に来たのか、なぜこの授業を履修したのか、将来何を成し遂げいのか・・・など各自の考えを共有してから、この授業の大きな4つのテーマ

1.適正技術とは
2.社会との関わり
3.恵まれた者が果たすべき役割
4.複数の価値観への理解

について議論。

竹村先生が議論をリードしつつ、初めは緊張していた学生たちも徐々に発言しだし・・・
・適正技術:どういう人が使うか考えるべき。ローテク、ハイテクどちらがいいではなく、より適している方を活用すべき。
・経済、お金とか一つの価値観しかないのは恐いこと。
さらに・・・
・社会貢献と自己満足の違いは?どうやって相手に貢献していると言えるのか?迷惑かも?将来の幸せにはつながらないかも。
というクリティカルな疑問も。
ある学生は、
・提供だけして、使うかどうかは相手に判断させればいいのでは?
また別の学生、
・しかし、提供する時の情報、説明はどうするか?本当に相手が理解して判断していると言えるか・・・
See-D Contestにて東ティモールでの現地調査の経験もあるKMDの徳久先生は、
・いかに現地に入って、現地のことを理解するかが大事。一方的に与えるのではなく、何に関心を持っているかを理解すること。

議論の後は、竹村先生より、適正技術と義足の例。
MIT Media LabBiorobotics groupのハイテク義足と同じくMITのD-Lab Developing World Prosthesisの途上国向けローテク義足を比較し、適正な技術とは何かを学生に問う。

最後に学生からは、
・技術の選択以前に、最低限必要な生活や安全を保障することが大事
・西洋的なものを提供することが本当に彼らに合うのか。何を本当に欲しがっているかを考えることが大切
・支援という時点で上から目線。学校を作るにしろ、その後の教員、授業が大切。持続的に考えなければならない。
・せっかく先進国が持っている技術を、途上国に活かすのが、技術を専門としている人の義務
・途上国の生活レベルを上げて、先進国のものを買ってもらおうとするのであれば、それも結局は先進国の都合に過ぎない
・こちらから技術を与えるだけでなく、向こうの人にも先進国に来てもらい、教育、研修をすることが大切
・日本人よりもアフリカの人の方が幸せ度が高いという話を昨日聞いた・・・
など多くの意見、感想が上がりました。

学生たちは、ものづくりのさらなる可能性に気付いたでしょうか?途上国に対する理解が少しでも深まったでしょうか?途上国開発の難しさを学んだでしょうか?MITという最先端の技術を扱う人たちが、広い視野を持って新たな事に取り組んでいる現状から何か刺激を受けたでしょうか?

内向きになっていると言われる日本、元気がないと言われる日本の学生。
しかし、学部1、2年生からこれだけ世界に向けて問題意識を持ち、(確かにシャイで発言は少ないかもしれませんが)きちんと自分の意見を持ち、発言する姿を見て、日本の若者がこれからこれらの分野でどう世界に貢献していくかワクワクしてきました。
来週の授業もさらに盛り上がるはず!

動きだし始めたばかりの、日本の大学での新たな試みですが、これからも応援宜しくお願いいたします!

写真や動画も随時アップ予定!

Friday, September 24, 2010

International Development Fair

遠藤です。
今日MITでInternational Development Fairが行われました。

このイベントは年に一回、新入生や在学生向けにMITにどのようなプロジェクトがあるのかを紹介するためのものです。僕の所属するD-labのスタッフも自分たちが開発したプロダクトをテーブルに並べ、道行く人を呼び込んで説明をしていました。学生が興味あるプロジェクトに参加したり、自分でもっている場合は相談をしたりと、このイベントの中でさまざまなコラボが生まれるのです。

Stata Center のMain StreetにてD-labとスタッフNathan

D-lab Developing World ProstheticsとGlobal Poverty Initiative(遅れてきたため相席)
D-lab Health (IIH)とJose

FablabとKeith


ほかにもたくさんのプロジェクトの展示がありました。以下に今回このイベントに参加したグループの名前とリンクを書いておきます。大学の組織、学生のグループ、ベンチャー、NPOごっちゃになっていますが、どれもMITでは有名なものばかりです。

-Abdul Latif Jameel Poverty Action Lab
-African Business Club
-Association for India's Development at MIT
-Africa Information Technology Initiative
-Amnesty International
-Asha for Education
-Aspire
-Center for Bilingual/Bicultural Studies
-China Development Initiative
-Community Water Solutions
-Department of Urban Studies and Planning -International Development Group
-D-lab Development World Prosthetics
-D-lab
-Emerge Global
-Engineers Without Borders
-Fablab
-Food/Ag Group
-Foreign Languages and Literatures Section
-Geospatial Data Center
-G-lab
-Global Cycle Solutions
-Global Education Office
-Global Poverty Initiative(GPI)
-H2O-1B
-International Development Consultants(IDC)
-International Development Design Summit(IDDS)
-IDEAS Global Challenge
-International Development Initiative(IDI)
-iHouse
-Innovations in International Health(IIH)
-Komaza
-Legatum Center for Development and Entrepreneurship
-$30,000 Lemelson-MIT Student Prize
-Leveraged Freedom Chair
-MIT $100K Businnes Plan Competition
-Mobility Lab(M-Lab)
-One Earth Designs
-Public Service Center(PSC)
-Sanergy
-SEALNet
-Special Interest Group in Urban Settlement(SIGUS)
-Sloan Entrepreneurs for International Development
-SPURS/Humphreys Fellows
-Students for Bhopal
-Technology and Culture Forum
-Technology and Development Program

Tuesday, September 21, 2010

See-Dコンテスト D-labワークショップ

遠藤です。
もう先週のことになりますが、数日間日本に帰りSee-Dコンテストのワークショップを9/11と12の2日間担当させていただきました。

See-Dコンテストとは、東ティモールで必要となる技術開発のプロセスを参加者に体験させるためのワークショップのシリーズで、今回行ったのは参加者が1週間のフィールドトリップのあと、体験してきたものを他のメンバーと共有し、現地に必要とされるプロダクトのアイデアを出すまです。私自身、D-labの中ではアイデアだしは講師たちの間で行い、学生には有る程度具体的なプロジェクトを与えるので、今回のワークショップはアイデア出しをチームに任せるというある意味参加者を崖につきおとすくらいチャレンジングなことなのです。

MITのD-labでは1セメスターを丸々つかってものづくりを行うのに対し、今回のワークショップは2日間で情報共有とアイデア出しを行うというとてもタイトなものでした。今回はD-labのというよりは、IDDSのマテリアルをSee-D用に改造しながら、なおかつ心地よい環境づくりに気を使いました。また、環境作りには現在メディアラボのLifelong Kindergardenにて客員研究員をしていらっしゃる、同志社女子大の上田信行先生にアドバイスをいただきました。今回の2日間のワークショップの様子はいつもの神戸芸工大の曽和先生のチームがリアルタイムビデオにまとめてくださいました。




日本の製造業では難しい、ゼロからの人間中心ものづくりが、しかもいろいろな職種の人たちが集まって行われている状況をみて、ただ単純にうれしく思いました。おそらくこれから出来上がるであろうものは、メーカが販売しているプロダクトに比べたら質も完成度も劣るものでしょうが、現地の人のことを考えて作られるプロダクトはこれからのものづくりの形に大きな石を投じることになると信じています。そして、このような動きに大学も乗り遅れてはいけないと思います。私はD-labのようなマインドを日本の大学、とくに工学系の学科に導入することにより、新しいものづくりのプロセスにも柔軟に対応できる人材を排出できるような基盤を作りたいと思っています。今後ともどうかよろしくお願い致します。

Sunday, September 12, 2010

国連フォーラム 私の提言

こんにちは、Support Staffの東工大/MITの鹿野です。現在、私はMITにてまったく異分野のことを研究しているものですが、この活動に共感し以前からお手伝いさせていただいております。

しばらくぶりのblogの更新ですが、少しずつでも前に進めていこうと思い、私も筆をとることにしました。

さて、皆様にご報告が遅くなってしまいましたが、国連フォーラム「私の提言」の第28回の記事を我らがメンバーの遠藤、土谷、陸が担当させていただきました。適正技術教育の歴史から適正技術教育の現状までカバーし、皆さんも記事を是非、読んでいただき、何か新しい一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

我らがメンバーもそれぞれの目標に向かい、日々、活動を続けている次第です。例えば、黒川清先生のブログなどでも紹介されています(記事英訳記事)。

Tuesday, August 31, 2010

3フォーラム合同・夏のオフ会in東京

ワシントンDC開発フォーラムClub JPO国連フォーラム合同で2010年8月1日(日)東京広尾のJICA地球ひろばにて、第7回目の合同・東京オフ会が開催されました。前回の参加者数を超える約210名が参加され、大変な盛況ぶりでした。

私遠藤はいろいろとお誘いはいただいたのですが、残念ながら私用により参加はできませんでした。しかし、UTBからは新井がパネリストとして、陸がモデレータとして第一部のパネルディスカッションに参加しました。当日の様子はこちらからみることができます。

Friday, August 27, 2010

メンバーの陸を中心に、現在日本で行われているSee-D Innovation Workshopの第二回のワークショップが8/21に行われました。応募数90名弱の中から選ばれた参加者が初めて集まり、デザイン思考や人間中心デザインとフィールドトリップのためのRRA調査についての講習やエクササイズを受けました。そのときの様子がこちらに載っております



参加者たちは、東ティモールへのトリップを経験したあと、再び9/11,12に集まり、フィールドトリップで集めた情報の共有やアイデアだしを行います。そのワークショップをMIT D-labの講師陣が担当することになっております。いまから楽しみです。

Wednesday, August 25, 2010

Fablab年次集会

遠藤です。

ひさびさのエントリーです。類似のアクティビティが盛り上がっているのでUTBも盛り上げていかなければとひしひしと感じております。先日Fablab Japanの田中先生とお話する機会があり、参加した年次集会に非常に興奮されていたので紹介いたします。



2010年8月15日~20日、オランダ・アムステルダムで、FabLabネットワークの年次集会”FAB6″が開催されました。FabLabJapanからは、田中浩也さんと巾嶋良幸さんが参加されたようです。こちらで報告がみれます。この一年で異常な普及速度を見せるFablabですが、日本ではまだ1つもないそうです。ものづくり大国という名前も昔の話、いまとなっては多くの企業がすばらしいプロダクトを生み出す時代になってしまいました。その中で、個人レベルのものづくりでなにができるか、あるいはオープンソースハードウェアがどのように社会に影響を及ぼすのか、今後が非常に楽しみな活動です。

私自身、厳密にいうとFablabではないのですが、義肢装具を作る為のワークショップを各国に作るための活動を、MITのFablabのメンバーと協力してやっています。なにかお手伝いができればとも思っています。

Monday, July 5, 2010

3月20日シンポジウムの動画サイト

皆様

大変遅くなりましたが、3月20日に開催しましたシンポジウムの動画をアップロードしましたのでリンクを貼ります:
http://www.youtube.com/user/UTBSYMPOchannel


ちなみに、こんなプログラム内容でした:

■ プログラム

  <午前の部> 10:00 - 12:00
   ・主催者挨拶
   ・基調講演 - William H. Saito 氏 (CEO, Intecur, K.K.)
   ・欧米のトップスクールにおける適正技術教育の広がり - 陸 翔 (ハーバード・ケネディースクール)

   第1部 MIT D-Labの取り組み
     モデレーター - 陸 翔
     ・D-Lab の概要 - 遠藤 謙, José Gómez-Márquez(MIT)
     ・D-Lab Health (医療機器開発)José Gómez-Márquez (MIT)
     ・D-Lab Prosthetics (義足開発) - 遠藤 謙 (MIT)

 <午後の部> 13:00 - 17:00
   第2部 日本の大学における取り組み
    モデレーター:高田潤一 氏(東京工業大学国際開発工学専攻長)
      ・エジプト日本科学技術大学 - ラメシュ・ポカレル氏 (九州大学助教)
・BOPを変革する情報通信技術 - アシル・アハメッド 氏 (九州大学准教授)
     ・ICU サービスラーニングセンター - 本郷好和 氏 (国際基督教大学准教授)

   第3部 産業界の取り組み、産学連携への期待
     モデレーター: 岡田正大 氏 (慶應ビジネススクール准教授)
     ・南アジアのソーラー灌漑電気自動車 - 金平直人 氏 (大手コンサルティング会社)
     ・ガイア・ソーラーランタンプロジェクト - 藤田周子 氏 (ガイア・イニシアティブ事務局長)
・ユーザーイノベーションを通じた途上国向け商品開発 -西山浩平 氏 (エレファントデザイン代表取締役)
     ・世界中の水をきれいに - 小田 兼利 氏(日本ポリグル会長)

    ・基調講演 黒川清 氏 (政策研究大学院大学教授)
   ・閉会の辞

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シンポジウムを受けて、近日、適正技術教育についての実行委員の考えをまとめた提言が発表されます。2-3週間のうちには詳細をお伝えできると思います。ご期待ください!



Sunday, June 20, 2010

See-D Contest立ち上げのお知らせ

こんにちは。陸です。今、夏のインターンシップでヨルダンに来ています。
ヨルダンは人口の大半が難民(700万人の国に対して、300万人がパレスチナ難民、100万人がイラク難民)という「中東の避難所」のような国です。(事実、イスラエル、シリア、イラクにはさまれながら平和を保っていて、中東で一番安全な国と言われています。中東和平のために平和でないといけない、とも言えますが。)
一方、人口の7割が40歳以下という若さと活気にあふれた国でもあります。
そんな国で特に村落地帯や難民キャンプを尋ねると住居・下水道などのインフラがひどく、なにかできることはないものかと思ってしまいます。今、一番作りたい「適正技術製品」はゴミが簡単に圧縮できるゴミ処理機でしょうか。

さて、そんな適正技術製品、皆さんもその商品開発のプロセスにチャレンジしてみませんか?

このたび、米国NPOコペルニク主催で、See-Dコンテストという適正技術商品の製品化を目的としたコンテストを立ち上げました。コンテストに先駆けて、第1部See-D Innovation Workshopの参加者を募集しています。
See-Dコンテストでは、UTBの実行委員の多くが企画・立ち上げにかかわっています。ぜひ、途上国向け技術開発に興味のある方々すべてにご応募いただければ幸いです。

以下、コンテストの詳細です。
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このたび、米国NPOコペルニクは、日本から途上国の低所得者層の生活水準向上を実現する製品をより多く生み出すことを目的としたプ ログラム、See-D Contestを開催致します。
本プログラムは、優秀な応募案件の2011年事業化をゴー ルとし、
第1部 「人間中心」デザイン手法によるものづくりワークショップ (See-D Innovation Workshop)
第2部 Web上でのアイデア交換によるオープンソースブラッシュアップ&デザインコンテスト (See-D Contest)
第3部 優秀チーム案の事業化サポート (See-D Incubation)
の3部により参加者 のサポートをするものです。本公募では、第1部See-D Innovation Workshopの参加者を募集致します。
なお、コンテストの詳細につきましてはhttp://see-d.jp/ をご覧ください。

===See-D Innovation Workshop募集要項===
【実施概要】
参加者は、3人一組のチーム(※)を組み、プログラム 開催期間(2010年8~10月)の間に、途上国の非電化地域向けに、以下の分野に関わる製品構想(製品概要、設計図、スペック・コストの概要)を考案 し、10月23日(土)に行われる公開発表会において、成 果を発表することが求められます。以下がプログラムの流れとなります。


(1) 公開シンポジウム(7/31): 途上国の現地文化を理解する
(2) ワークショップ (8/21):  デザイン思考を理解し活用する
(3) フィールド調査 (8/28 - 9/4):  東ティモールの非電化村落の村に滞在し、現地生活を理解
(4) ワークショップ (9/11): フィールド調査結果の共有
(5) ワークショップ (9/18): 課題の設定
(6) ワークショップ (10/2): 製品設計とデザインモック作製
(7) チーム作業 (10/2-10/20):    各チームで継続して試作設計
(8) 公開シンポジウム (10/23): 成果発表会
※現地住民への影響やリスクなどを鑑み、 フィールドスタディの参加者数を限定させていただく場合がございます。
※日程は調整の結果、変更となる可能性があ ります。

【開催場所】
シンポジウム: 東京大学本郷キャンパス(予定)
ワークショップ:  東京大学本郷キャンパスおよび千葉大学キャンパス(予定)
フィールド調査: 東ティモール国・非電化村落地帯
※場所は調整の結果、変更となる可能性があります。

【募集人数】
30名

【応募資格】
・途上国向け製品開発に興味のあるエンジニア、デザイナー、個人発明家、商品企画・商品開発担当者もしくは関連する職業につく方もし くは工学・デザインに関連する学科に所属する大学・大学院生

・上記のワークショップの全日程に参加できる方(フィールド調査はオプショナルですが、参加が強く推奨されます)

【参加費】
シンポジウム及びワークショップ:  (社会人・個人)4万円 (学生)2万円 (ワークショップ内の材料費含む)

※フィールド調査への参加費用は別途個人の負担となり ます。
  フィールド調査参加費想定:約20 - 30万円(航空券・現地滞在費・食費を含む概算見積もり)
※優れたアイデアに対してはスカラシップという形で参加費・フィールド調査費用の一部が免除されます。コンテスト実行委員会では、本 企画のスポンサー企業を募集しております。なお、応募される方の所属企業・団体がスポンサーになりますと、同様にスカラシップ支給の 対象になります。


【応募方法】
(1) 応募書類・応募先
http://see-d.jp/ を通じてお申し込みください

(2) 募集形態
応募は個人単位もしくはグループ単位(3人1組)で行うことができます。グループで申し込んだ場合、選抜の合否はグループ単位で決定 いたします。詳しくはウェブサイトをご覧ください。なお、個人とグループの両方に重複してエントリーをすることも可能です。


(3) 募集期間
2010年6月18日~8月1日
※参加者募集にあたり、事前説明会を行います。日程につきましては6月下旬以降、下記ウェブサイトをご覧ください:http://see-d.jp/

(4) 選考方法
書類審査
選考結果通知: 8月上旬
※審査員が必要と判断した場合には、電話による簡単なインタビューをお願いすることがあります。

(5) 問い合わせ先
E-mail: info@see-d.jp
電話でのお問い合わせは受け付けておりません。

【知的財産権の取り扱い】
See-D Innovation Workshop, See-D Contest, See-D
Incubationの全プロセスを通じて、知的財産権の一切は、参加者個人に帰属します。米国NPOコペルニクは本コンテストを通 じて生み出された知的財産権の一切を所有いたしません。

【フィールド調査について】
東ティモール国へのフィールド調査については、一切個人の責任においての参加となります。渡航に際しての予防接種、保険(参加者全員 必須)、首都ディリィまでの往復航空券は、各自で手配いただきます。(必要な情報・アドバイスは提供いたします。)コペル ニク及びSee-D実行委員会は、当旅行期間中に発生するいかなる事故・事件への責任を負いません。


【運営体制】
主催:  米国NPOコペルニク
協力:  NPO法人ETIC.、(株)ミュージックセキュリティーズ、マサチューセッツ工科大学D-Lab、 東京大学i.school
運営: See-D実行委員会

Saturday, June 19, 2010

世界を変えるデザイン展 最終日

遠藤です。
先月から六本木のデザインハブとAXISギャラリーにて行われてきた世界を変えるデザイン展の最終日に、ボストンからskypeを通じて発表させていただきました。

セッション2の「オープンソースの可能性」に登場したのですが、イベントの主催者からは、
自分の活動を紹介してほしいといわれていたのでオープンソースにこだわらず、MITのD-labについて、アクシスギャラリーでも展示されたMIT kneeの開発について、ビジネスモデルを含む今後の展開ついて、さらにはSee-Dコンテストや日本の大学で始まるD-labの紹介をさせていただきました。私のスライドと動画が梅本さまのご協力のもと、イノベーションラボにアップされています。

同じセッションには、NOSIGNERさんと、同じメディアラボに現在おられる田中浩也先生とご一緒させていただきました。NOSIGNERさんからは彼がすすめているOpen Source Productについて、田中先生はFablab Japanについての紹介がありました。どちらも今後がたのしみなプロジェクトです。
3人の発表の後のQ&Aでは、オープンソースに関する質問が多くでました。特に、オープンにすることによって、日本の製造業はどうなるのか、途上国の人からライセンス料をもらうことが本当にできるのか、いままでに実績はあるのかなど、オープンソースをとりまくさまざまな問題に集中しました。私は、ビジネスモデル案にもあるように、途上国のNGO/NPOに現地で作れるような義足をデザインしております。そして、彼らが義足を1つ作る際に1ドルほどのライセンス料をいただくような話をすすめています。(まだ決定ではなく、Jaipurfootと話をすすめている段階です)よく途上国ではすぐにまねされるから、ライセンス料はとれないのではという質問を受けます。おそらくまねはされるであろうし、まねされるのは大歓迎です。ただ、この1ドルは、自分が作った義足に関する責任とまた新しい義足をつくるための投資のためであり、義足そのものに発生しているものではないのです。もし問題が発生したらすぐに対応するつもりですし、また新しい要望が現地からあれば、すぐにでも新しい義足をデザインするつもりです。NOSIGNERさんの提案したオープンソースのコンテキストはもちろん、途上国向けの技術でも話題につねにあがっているテーマで、われわれもそれに近いコンセプトで途上国向けの技術公開をする予定です。オープン≠ビジネスという先入観があるからか、ソースをオープンにすると日本の製造業は今後大変になるのではという質問もありました。そんなことないと思います。最後に問われるのは、その技術を他の人に与えたあと、どうやってそのプロダクトの責任を誰が追うのかというところだと思います。Creative Common Licenseも今後の動向に注目したいです。

今回の発表では、2台のPCをskypeでつなぎ、田中先生と私の顔をビデオで会場に送っていたのと、もう1台をiChatを使ってデスクトップ共有をして、発表者が会場のPCを使ってスライドを操作しました。打ち合わせではいろいろな方法を試したために、かなりの時間を要しましたが、その結果非常にスムーズな進行だったと思います。当初、田中先生とは「skypeだからパネルには参加できなそうだよね」というような話をしていたのですが、まったくその心配はいらなかったです。これには田中先生の研究室に所属している学生達が多大な貢献をしました。どうもありがとう。

Wednesday, May 26, 2010

インドの個人発明家Suprio Das 適正技術開発の落とし穴

遠藤です。
D-labは一ヶ月間、インドのカルカッタで活躍している個人発明家Suprio DasをMITに招き、学生の指導にあたってもらいました。彼の滞在中に、なぜ彼がいまの仕事をし始めたのかという話を聞く機会を得ました。


彼は、現在は個人発明家として活躍しておりますが、元々は地元の企業でエンジニアとして働いていました。地元の大学で電気工学を学んだ後、1980年から20年間、主に電気系統のケーブルを作る仕事をしていたそうです。日々の暮らしの中で、毎日のルーチンワークや、自分達の作る製品が裕福な人のためにしか使われないことに疑問を持ち、2000年、カルカッタ周辺の貧困層に属する人々を助ける為に、安定した職を自分から手放し、発明家としての道を選びました。

彼はこれまでに様々なプロジェクトに携わってきましたが、話をした後にもっとも印象に残ったのはDomestic Lightとよばれるプロジェクトでした。



このプロジェクトは、リキシャとよばれる人力三輪車に充電器をとりつけ、昼の間に充電されたバッテリーを夜の明かりにつかうという発明で、現在でもさまざまな村で使われているようです。このような起業家精神あふれる発明家が現地から生まれる例はあまり多くなく、D-labの学生も多くのことを学びました。また彼自身も非常に好奇心旺盛で、D-labの持つ技術すべてに興味深々に聞き入っていました。

笑顔を交えながら会話をしているといきなり真剣な目で、
「Ken、D-labはすばらしいものを作り続けているが、いまD-labのメンバーに必要なのは作ったものに責任をもつことだ。」
といい始めました。それから実際に起こった昔の話をしてくれました。

1970年代、カルカッタの近くの村にはきれいな飲料水を確保することが難しく、村人はバクテリアをたくさん含む水たまりの水を飲んでいたそうです。当然、体に良いわけはなく、特に子供の健康状態は非常に悪かったのです。そこで、WHOと政府が協力して村に井戸をつくり、地下のきれいな水を組み上げるポンプを設置したのです。当時はそれで問題が解決されたと誰もが信じたそうです。

数年後、その水にはヒ素が多く含まれていることが判明し、多くの人が命を落とし、あるいは後遺症に苦しんだそうです。WHOや政府は終了したプロジェクトのフォローアップを全くせずに、村人は仕方なく水たまりの水を再び飲み始めたそうです。

「おれはその話を聞いて、自分で技術を提供できる発明家になろうときめたんだ。」

本当に身が詰まる思いをしました。資本主義の原理が働く先進国では、だめなプロダクトは淘汰されますが、途上国ではそれが唯一のオプションになってしまう可能性があるのです。もしそのプロダクトが使用者の生死に関わる問題を抱えていたら、使用者全員を危険にさらしてしまうことになるのです。
私の場合、義足をつくるということは、ある意味患者の命を預かることと同じことなのです。

途上国向けのものをデザインする上で重要なものは何かと最近聞かれました。私は、目の前の人を助けようと思う気持ちと命をも預かるという責任感を持つことだと思います。

彼と話をしていて、自分のやっていることの重要性と危険性を再確認しました。彼はすでにカルカッタに戻って、水のくみ上げ装置のプロジェクトに携わっているようです。インドに今度行くときにはカルカッタにある彼の工房に行こうと思っています。

Tuesday, May 25, 2010

IDEAS competition結果

遠藤です。
先日MITのIDEAS competitionの結果が発表されました。我々のプロジェクトは残念ながら無冠に終わりましたが、受賞したプロジェクトはさすがに完成度が高いものばかりで、すでに起業したものも少なくありませんでした。

IDEAS competitionで受賞されたプロジェクトはここで見ることができます。
以前紹介したperfectsightも受賞されています。

この中で最も大きな賞を受賞したのがKonbitとよばれるプロジェクトです。このプロジェクトはメディアラボのクラスの中から生まれたもので、ハイチの地震の後の復興を支援するためのサービスです。このサイトでは、現地の人々のがどのようなスキルをもっているかを登録することができ、それをみた赤十字のような国際NGOが復興のための人材確保に使うことができるようになっています。
またD-lab Healthから生まれたDeNovoMeterは、血糖値を安価に手軽に計測できる紙を発明しました。インシュリンを投与している糖尿病の患者は毎回血糖値を計測しなければなりません。そのときにインシュリンの量は血糖値によって変える必要があるからです。万が一インシュリンの量を間違えると死に至る危険性もあるのです。まだまだプルーフコンセプトのものしか見れませんでしたが、将来性が評価されたのだと思います。

ほかにもおもしろいプロジェクトはたくさんありましたが、評価基準が年々変わってきたような気がします。当初はアイデアのプロトタイプを重視していましたが、最近ではプロトタイプの作り込みよりも、100Kのようにビジネスプランをよく練る必要があるように感じます。これはスポンサーの意向や、ジャッジする人がビジネス出身の人が多いからだという説明を最近聞きました。来年参加予定の方、ぜひ参考にしてみてください。

Sunday, May 9, 2010

世界を変えるデザイン展についてのお知らせ

こんにちは。
東工大の原口です。

今回はイベントの告知をさせていただきます。
それは、『世界を変えるデザイン展』です。

自己紹介でも述べたとおり、私は「世界を変えるデザイン」という本にとても感銘を受けました。
この本に出会う前、東京工業大学の国際開発工学専攻に入学することは決まっていましたが、とても不安でした。
というのも、当時自分の頭の中には技術からのアプローチはODAによる技術協力のようなイメージしかなく、アプローチ方法としてこれが自分のやりたいことなのか分からなかったからです。

そんな中、偶然この本に出会い新たなアプローチ方法を知りました。
それは、シーズありきではなく、現場のニーズをとことん追求してイノベーションを起こし、現場に一番フィットするような技術、いわゆる適正技術を駆使したプロダクトをデザインして途上国開発していくというアプローチです。
言われてみれば、考え自体当たり前といえば当たり前です。しかし、真のニーズを正確に把握することがどれだけ大変か、ニーズを満たすプロダクトをデザインすることがどれだけ大変か、ビジネスとして回すことがどれだけ大変か、とそう単純ではないはずです。
このような問題をイノベーションを起こして乗り越えようとしている、世界を変えようとしている、プロダクトが実際にあることを知れたのは自分にとって大きな気づきになりました。

そして、今回『世界を変えるデザイン展』が開催されます。
実際に途上国の現場で使用されている適正技術のプロダクトを見ることのできる絶好の機会です。おそらく、同時にこれほどのプロダクトを見れる機会は他にないと思います。
また、カンファレンスでは現場の第一線で活躍されている方が海外から来て講演をされます。


ぜひ、皆さま足を運んでみてはいかがでしょうか?
技術によって世界がどのように変ってるいるか垣間見ることができるはずです。


以下、世界を変えるデザイン展の告知となります。
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「世界を変えるデザイン展~Imagine another life through the products~」開催のお知らせ


生きていくためのデザイン。生きる世界を変えたデザイン。


発展途上国に住む人々が直面する、さまざまな課題を解決してきた”デザイン”を紹介する
「世界を変えるデザイン展」。
第一回となる本展は「現地の人びとの生活視点や発想」を出発点に、
約80点のプロダクトデザイン、プロジェクトを紹介します。


先進国におけるデザインは世界総人口のほんの10%を対象にしているに過ぎません。
これからのデザインは、その他90%の人びとのニーズに目を向け、彼らの生活水準を向上させ、
自尊心に満ちた生活を提供する使命をもっていると、私たちは考えています。


本展は、発展途上国に存在する課題を[water][food][energy][health][housing][mobility][education][connectivity]の
8つに分類しました。
そして、これらの課題を解決し、新たな市場や雇用を生んだプロダクトにフォーカスします。


1日平均収入が2ドル以下の発展途上国の人びとに対して、デザインができることは何か。
どんなデザインが求められているのか。
会場の多くの事例から、そのヒントを見つけていただければ幸いです。


東京ミッドタウン・デザインハブでは、現地の人々の生活を向上させ、ビジネスモデルとして
実績をおさめているプロダクトを展示、
アクシスギャラリーでは、大学や団体による取組を含め成功事例のプロセスや背景、
進行中のプロジェクトも併せて紹介する予定です。


さらに、会期中、海外より研究者などを招聘し、カンファレンスやワークショップを開催予定です。
国内外より、BOPに関する研究者、デザイナー、途上国NGOの方々など
幅広い分野の方々をお招きして講演やワークショップを実施致します。
皆様ふるってご参加ください。

□展覧会名称:「世界を変えるデザイン展~Imagine another life through the products~」
□入場料 : 無 料 (※カンファレンス・ワークショップは別途参加費を頂きます)
□主催:世界を変えるデザイン展実行委員会、日本財団、特定非営利活動法人CANPANセンター
□会場と会期(2会場の会期は異なります):
◉東京ミッドタウン・デザインハブ(港区赤坂) 共催:東京ミッドタウン・デザインハブ
5月15日(土)~6月13日(日) 11:00 - 19:00
◉アクシスギャラリー(港区六本木) 共催:アクシスギャラリー
5月28日(金)~6月13日(日) 11:00-19:00(最終日は17:00まで)
□特別協賛:大和証券株式会社
□協賛:SEITOKU株式会社
□後援:アメリカ合衆国大使館、オランダ王国大使館、ブリティッシュ・カウンシル、JICA、
独立行政法人中小企業基盤整備機構
□協力:ロイヤル フィリップス エレクトロニクス、デルフト工科大学、英治出版株式会社、
ソニー株式会社、平和紙業株式会社、株式会社山田写真製版所、岡崎製材株式会社、
株式会社丹青社、武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科、国際協力NGOジョイセフ、
社団法人シャンティ国際ボランティア会、プラン・ジャパン、ジュレー・ラダック
□企画協力:アクシスギャラリー、(財)日本産業デザイン振興会
□運 営:株式会社Granma
□会場構成:芦沢啓治建築設計事務所、DRILL DESIGN、橋本潤
□グラフィックデザイン:中野デザイン事務所、河原健人
□プロダクト写真:尾鷲陽介
□Web制作:株式会社トナリ
□運営:株式会社Granma
□お問い合わせ(株式会社Granma内):Tel.:03-3793-7210
URL:http://exhibition.bop-design.com/
E-mail:sekai_design@granma-port.jp
Twitter:http://twitter.com/sekai_design




※注1:CANPANセンターとは、民(NPO)、産(企業)、学(学術団体)の活動を支援し、
三者の連携を促進することにより民間主体のより豊かな社会づくりに貢献する特定非営利活動法人。
※注2:BOPとは、「所得別人口構成のピラミッドの底辺層を指す。
世界人口の約7割に相当する約40億人が、年間所得3000ドル未満の収入で生活しており、
その市場規模は5兆ドルに上ると言われる。
BOPビジネスとは、企業が途上国においてBOP層を対象にビジネスを行いながら、
生活改善を達成する取組のことである。
慈善事業ではなく、持続可能性のある本業のビジネスとして行う点において、
CSR活動をさらに発展させたものと言える。」(経済産業省ウェブサイトより)

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Thursday, May 6, 2010

AmyがTime100に!

もうお気づきの方も多いかもしれませんが、、MIT D-Labの創始者Amy Smithが2010 Time 100に選ばれています。素晴らしいですね。記事は、こちらをご覧ください。

Wednesday, April 28, 2010

IDEAS competition judging session

遠藤です。
先日投票をお願いしたIDEAS Competitionですが、残念ながら我々のチームは6位と7位でした。(投票をしてくださったみなさん、本当にありがとうございました。)投票はIDEAS Competitionの一部であるCommunity Choice Awardのためで、メインのIDEAS CompetitionのJudging Sessionが4月26日に行われました。

IDEAS Competitionとは、100Kに並ぶMITのビジネスプランコンテストで、ソーシャルアントレプレナーに特化したコンテストです。評価には発明品に重点が置かれている為に、D-labで作られたプロトタイプをそのままコンテストに出す学生も多いのです。

今年は総勢26チームが参加し、ビジネス経験のある18名のジャッジがチームの評価を行いました。発表の形式はポスターセッションで、チームごとに3人から5人のジャッジがまわってくるというものでした。私はExo-KneeLego Legの2つのチームに所属していましたが、このセッションではExo-Kneeで発表を行いました。

Exo-Kneeとは、見た目が人の膝のように見え、さらに足が地面についているときには膝がロックされ、地面から離れたときには膝のロックが解除されるような機構を備えた下腿義足です。義足はただ売ることはできず、義足を調整するテクニシャンや他の部分を作る為の機器が必要となるために義足そのもののためだけでなくさらなる費用が必要となります。そのために我々はKopernikと協力し、義足の新しい普及方法も提案しています。
セッション中には3名のジャッジがポスターの前に来て、発表と質疑応答にそれぞれ30分ほどかかりました。残念ながら、我々のパートナーのKopernikの中村さんは引っ越し直前ということで不参加でした。質問はExo-Kneeの技術的なものから、Kopernikの実績などなかなか鋭い質問も飛び交い、正直うまく答えられたかどうかとても不安です。

他のプロジェクトをあまりみることはできませんでしたが、個人的にすごいと思ったのはPerfectSightとよばれるプロジェクトです。このプロジェクトはメディアラボカメラカルチャーというグループから生まれたものです。彼らは、ラボで生まれた技術を使って、携帯電話と組み合わせた安価な目の診断装置を作ったのです。たくさん投票を集めたところは大抵実物をみてがっかりすることが多かったのですが、このプロジェクトのプロダクトの完成度はもちろん、今後の展開にも期待できそうです。



結果発表は5月3日です。

Friday, April 23, 2010

遠藤です。
本日、MITのD-labから発表された技術公開に関するニュースを紹介いたします。
MIT D-labは、これまでに開発してきた適正技術のうちの数個をCreatives Commons Lisenceのもと、公開しました。このライセンスは、商用目的ではなく、MITが所有するものとして明記しさえすれば、無償で利用できるものです。このカリキュラム資料をつかって、”MITのクラスだけでなく、他大学、さまざまな団体、さらにはベンチャーや個人向けにオープンにすることによって、より大きなインパクトを社会に与えることが目的です。”

現在、農業廃棄物から炭を作る装置とトウモロコシの身をはぎとる装置の2種類の技術の資料が公開されています。炭を作る装置はD-lab初年度から続いているプロジェクトでDesign for the other 90%でも紹介されていますし、今年ハイチの大地震のときにも大活躍した技術です。

なお、Amy Smithはこの技術を始め,自身の活動を2006年にTEDで発表しました。



これまで、D-labは開発してきた技術を外に発表することをあまりしていませんでしたが、今年度からD-labの資料をまとめる専属のメンバーが2人雇われています。この技術公開は彼らの仕事の1つです。公開されている技術は今は2つしかありませんが、これからさまざまな技術がここから発信されていくことになります。

Tuesday, April 20, 2010

今週のThe Economist・新興国がイノベーションを牽引する時代

シンポジウムから丸1ヶ月が経とうとしており、色々なところで徐々に国際開発を技術で開発しようという取り組みが日本からも少しずつ起こってきているようです。本ブログでも、色々な取り組みをご紹介できるようにしていきたいと思っております。皆さん、今後ともどうぞ宜しくお願いします!

さて、今週のThe EconomistInnovation in Emerging Marketsに関して、14ページの非常に良く纏まった記事が出ております。さすがThe Economistだなと思わされる非常に的確に書かれた記事ですので、もし良ければ見てみてください。日本の自動車メーカーがアメリカの自動車メーカーを追い越した80年代、アメリカは「日本の成功は安い賃金と政府の補助にある」と考えていたが、蓋を開けて研究してみると在庫スペースの不足を強みに変え「リーン生産」というビジネス・イノベーションを実施していた。そして、「T型フォード」「トヨタのリーン生産」に次ぐ新たな流れが新興国から起こりつつある、と書いています。そして、今回の中印を中心とする新興国の勢いは日本が西側諸国を凌いだときよりも早く、規模が大きいことも指摘しています。その理由として1) 企業活動や人材が流動化していること、2) 日本の時のように自動車と電機産業だけではなく、殆ど全セクターで起こっていること、3) ボリュームがとにかく大きいこと(例:中印の電話会社は800-1000万人の新規顧客を毎月取り込んでいる)、4) 西側諸国の優良企業が新興市場のポテンシャルに気付いていることを挙げています。GEがバンガロールに世界最大の研究開発拠点を建設していること、GEのインドの過疎地の診療所向けに出したポータブル心電計Mac400がリバース・イノベーション(途上国の厳しい制約条件に適用するよう作られたものが、先進国でも売れる商品になる。クリステンセンの破壊的イノベーションと似たコンセプトだが少し異なる。)の一例としては有名です。これらの製品の特徴は、価格・動作条件の厳しい条件を徹底的に考え、そこに必要な技術を組み合わせて製品化に結び付けているところにあります。成長市場で売れるものは、成長市場の中で研究開発をする必要があることを再認識させられました。日本企業の研究開発は「日本人中心、国内集約」ですが、ここから途上国でのヒット商品を出すのはやはり無理がありそうです。スピード感も日本と成長市場では圧倒的に違うでしょう。ここで挙げられている例は私も知らなかったものがいくつかあり、なかなか面白かったです。

色々と読んでいて再認識したのですが、残念ながら日本企業の名前は一切出てきませんでした。世界のトップ企業500社(Fortune Global 500)のうち68社は日本企業であり、まだ世界経済に与える影響力はまだ大きいはずなのですが、成長市場で役割を果たせないということは徐々に影が薄くなってゆくということを意味しているのでしょうか。中国のBYDにオギハラの金型工場が買収されたり、韓国NHNにライブドアが買収されたりと、最近日本企業が徐々に欧米以外の企業に買収されてゆくニュースが増えている気がします。The Economistでも「リバースM&A」としてインドのHindalcoがカナダのNovelisを買収した例が出ていました。安定志向で日本の大企業に入っても、10年後の上司は中国人かインド人かもしれません。Infosys, ArcelorMittal, Embraer のような新興国発の大企業が増え、タタの自動車がアメリカの道を走る日も、そう遠くなさそうですね。

IDEAS Competition

遠藤です。MITのビジネスプランコンテストといえば100Kが真っ先に思い浮かびますが、次点で途上国向けの適正技術とそのビジネスに特化したIDEAS competitionというものがあります。今年はKopernikさんの協力もあり、義足のクラスから2つのプロジェクトをエントリーしました。

Exo-Knee Prosthesis
Lego Leg

現在Global Challenge Awardsという、webの投票で勝者が決定コンペがあり、今月の26日まで投票を受け付けております。ブログで宣伝するというのもちょっと気が引けますが、他のチームもかなり必死になっているので、我々もここでプロジェクトを紹介させていただいております。リストの中には、他にもおもしろいプロジェクトがたくさんありますが、もし気に入っていただけたらExo-kneeをよろしくお願いいたします。(投票には登録が必要ですが、MIT Friendとしてどなたでも登録できます。)

ちなみに賞金は、夏に予定しているExo-Kneeの大規模な実地試験と、その後の技術普及のために使われます。ぜひご協力お願い致します。

Thursday, April 8, 2010

Paul Polak、訪MIT

MIT遠藤です。

今週の月曜日、Paul PolakがMITのD-labの見学とDesignのクラスでの講義のためのMITに訪れました。Paulは1981年にInternational Development Enterprise(IDE)という非常に有名なNPOを立ち上げ、水の灌漑システムやポンプのような農業に必要な適正技術を使って途上国を支援しています。現在IDEは世界有数の大きな団体に成長し、活動範囲をインドからアジア諸国、アフリカ、さらにラテンアメリカにまで広げています。Paulとはfacebookやメールで何度かやり取りしたことはありましたが、実際に会うのは今回が初めてでした。

彼の講義は、スライドを使ったプレゼンテーションではなく、ただ彼が学生の前に座り、質問を受けて、自身のさまざまなストーリーを織り交ぜつつ、その質問に答えるというスタイルでした。驚くべきことは、すべての学生が彼の著書「Out of Poverty」を読んでおり、その内容に質問が集中していたことです。その中でも印象的だった質問をいくつか紹介します。

Q. 「本の中では現地のコミュニティーと対話をしなければならないとあるが、はじめていくところにはどうやってコンタクトをとるのか?」
A. 「はじめていくとしても、まったく知らないコミュニティーというのはない。常にすでに知っているコミュニティーを訪ねるのだ。どうやって知るかというと、必ず知り合いが紹介してくれる。ここで大切なのは、ここアメリカでもネットワークを大切にすることなんだ。」
この質問は日本でもよくされたものですが、D-labにいると本当にいろいろな方が話を広げてくださるので、非常にネットワークの大切さを感じます。この下地がまだ日本にはないのでしょう。この我々のネットワークは日本で個々に活動されている方々をサポートできるものの一つかと思っております。

Q. 「国連や世界銀行や政府などが援助しているにも関わらず、同じような国で活動されるのはなぜか?もっと援助が必要な国があるのでは?」
A. 「我々は大きな機関の調査を信用していない。言い方が悪いもしれないが、調査とは大抵10%の人は切り捨てらるもの。我々がやろうとしているのは、自分たちの目でみて、そこに問題があれば、その解決法を一緒に考えること。お金を援助することは必ずしも解決法ではない。」

彼は話の中で"How much they can afford to pay for what?"という言葉を何度も繰り返しました。例えば、農業で必要な水のくみ上げポンプは初期投資は彼らにとって高価かもしれないけれども、農作業の効率が上がり、作物の売り上げもあがれば、彼らは購入する必要があるというのだ。その結果、彼らの生活水準が向上するのだと。Paulは、最終的には寄付や援助に頼らず、彼らを自立させ、一定の経済レベルにまで押し上げることを常に考えているのです。

Paulの話を聞いて、D-labの創設者であるAmy Smithが彼から非常に大きな影響を受けていることを感じました。とくに、実際に現地に行かないと適正技術は作れないと言い切るくらいにまで、現地の人々との対話を重要視するところは、ニーズを理解しそのソリューションを生み出すプロセスを重視する、まさにエンジニアの魂であると感じました。

この夏、Amy Smithが主催するInternational Development Design Summitという学生向けのイベントが7/7から30まで開催されます。毎年適正技術を学び、考えることを行ってきましたが、今年は普及方法に着目し、現在すでにある適正技術を現地に根付かせる方法を提案することを目標にしているようです。場所がコロラドというのも、Paul Polakが現在コロラドに在住しており、彼の参加を呼びかけたことから決まったようです。(このようなイベントに日本の学生も参加すべきであると思うのですが、時期が期末試験と重なる大学が多いことから、難しいとの反応を受けたことがあります。)

授業のあと、簡単に私の授業の紹介と義足を紹介させていただきました。今後普及のネットワークに協力していただけることになりました。我々がもともと義肢装具の研究者であることにもおどろいていただき、エンジニアがこのようなことに目を向けることが大事であるとおっしゃっていました。まさに私が目指すところです。

Monday, March 29, 2010

適正技術とは

遠藤です。
今回10日間日本に滞在しましたが、そのうち5回もイベントに招待していただき、たくさんの方々にお会いする機会がありました。D-labのような「技術開発」と「国際開発」の2つの異なる「開発」を組み合わせた試みは日本では新鮮に見えるようで、多くの方に興味を持っていただきました。その中で一番多かった質問のひとつが「適正技術とはなにか?」というものでした。おそらく様々な団体が少しずつ異なる定義をしているかと思いますが、ここではD-labで教えている適正技術について紹介したいと思っております。多くの情報がD-labの教科書として使われている"Mastering the machine revisited: Poverty, aid, and technology"から学んだものです。

適正技術(Appropriate Technology)はもともとは中間技術(Intermediate Technology)という名前で、Ernst Friedrich Schumacherによって提唱されました。彼は名前から予想できるようにドイツ生まれですが、後々イギリスにて有名なEconomic Plannerとして活躍しました。戦後の復興活動の中で、高度な近代技術を用いた暴力的な援助が成功しないことから、ハイエンドでもローエンドでもない中間に存在する技術が、多くの雇用を生み出すということを述べ、中間技術の重要性を述べています。さらにSchumacherは仲間とともに非営利団体Intermediate Technology Development Group(ITDG)を立ち上げ、中間技術の普及に努めたのです。1960年代のことでした。のちにこれらのコンセプトは"Small is Beautifle"という書籍にて発表され、後の適正技術へ続いていきます。

その後、時代と共に戦後復興から途上国開発へと意味合いが変わり始め、中間技術という言葉が一般化されるようになりました。そして、中間技術という言葉は
  • 小型
  • 単純
  • 安価
  • 非暴力
という4つの特徴に集約されるようになりました。しかし、中間技術という言葉は相対的な言葉で、必ずしも適切な技術を意味するものではありませんでした。それはハイテクやローテクといった言葉にも当てはまります。例えばペニシリンは非常に有名な抗生物質でいずれの国にも適正な技術(かわりになる技術がないため)なはずですが、中間技術ではないのです。

そこで、Schumacherの死後、ITDGを引き継いだGeorge McRobieらは4つの特徴を引用しつつ、新しい適正技術という言葉を使うようになりました。適正技術とは
  • コミュニティーの多くの人が必要としている
  • 持続可能性を考慮した原材料、資本、労働力を用いる
  • コミュニティーの中で所有、制御、稼働、持続が可能である
  • 人々のスキルや威厳を向上させることができる
  • 人々と環境に非暴力的である
  • 社会的、経済的、環境的に持続可能である
という条件をすべて満たす技術のことを意味しています。ちなみにD-labのwebsiteでは
technologies designed to suit the needs of the community it is intended for, being culturally sensitive, environmentally responsible and spreading productive employment opportunities.
と紹介されております。

これらの定義の他にもさまざまな団体(OECDGRET、ATIなど)が適正技術に関する議論をしておりますが、個人的には言葉の定義に関して、最低限の定義は必要とは思いますが、細かく定義しすぎるのは無意味と思っております。大抵の団体は同じような定義をしておりますし、言葉の意味よりも行動のほうが重要だと思っているからです。

なので、「適正技術とはなんですか?」と聞かれたら、D-labのwebsiteのように「現地のニーズ、文化、環境、人などを考慮したうえでの、最善の技術」と簡単に説明させていただいてます。

参考文献
Ian Smillie, "Mastering the machine revisited: Poverty, aid and technology", Practical Action Publishing, 2000
E. F. Schumacher, "Small is beautifle", 1973
"Putting Partnership into Practice", ITDG, 1989

Tuesday, March 23, 2010

スタンフォード大学:Design for extreme affordabilityの授業紹介

こんにちは。この9月からスタンフォード大学のビジネススクールに入学予定の陸です。(ハーバードケネディスクールはビジネススクールとのJoint degree programを設けており、私はこの5月にケネディスクールでの一年目を終えて、9月から西海岸に移る予定です。)
以前、Kopernikのブログに、スタンフォードのDesign for Extreme Affordabilityという適正技術の授業見学の様子をレポートいたしました。

シンポジウム後の補足として、こちらのブログでも内容を紹介させてください。

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(以下、Kopernikブログより引用)

先週末、スタンフォードを訪問する機会があ り、そこでDesign for extreme affordabilityという途上国向け製品開発を教える授業 を見学してきました。今日は簡単にその授業の紹介をいたします。この授業は、IDEOの創設者であるDavid Kelleyが率いるD.Schoolというデザインスクールが運営する 授業の一つで、デザイン、エンジニアリング、ビジネスなど異なる分野を専攻する学生が互いのスキルを持ち寄って、提携先の NGOが持ち込んだ途上国でのデザイン課題に取り組んでいます。

授業構成の詳細は、こちらに載っているので見ていただければと思い ますが、授業を見学して感じた特徴についていくつか書いてみようと思います。

①Design Thinking
D.school全体を貫くテーマ が、
Design Thinkingという「人間(ユーザー)の生活全体を中心 に、総合的・クリエイティブに、現実的な解を考えよう、というコンセプトです。というと、訳がわからないように聞こえます が、例えばExtreme Affordabilityの授業では下記のようなパーツが織り込まれていました:

-Ethnography
記 述民族学などと訳されますが、マーケティングの手法の一つとしても注目されているもので、ユーザーの生活を文化人類学のように判断を はさむことなく丸ごと観察し、受け入れることで、ユーザーのニーズを理解・特定していくプロセスのことを指します。授業では、始 めは大学付近の消防士やウェイターなど自分とは全く違う生活をしている人を観察させる宿題を出すなどして、Ethnographyを 教えているとのことでした)

-Rapid Prototyping and iteration
製品デザインのプロトタイプを考 えるだけではなく、ビジネスモデル・プロモーションプランまで含めたトータルのビジネスデザインを短時間で考え、何 サイクルも回すことで改善を進めていくプロセスのことです。見学した授業ではちょうど、ベンチャーキャピタルに見せるビジネスプラン のプロトタイプをどう作るか、というエクササイズをやっていて、先生が「製品のポジショニングはこう考えるべし」という エッセンスを5分程度話したあと、5分ほど時間をとって、各チームがポストイットと模造紙を駆使して、アイディアをどんどん書いては 貼っていくというエクササイズを繰り返していました。(これまたマーケティングの世界でも使われる手法の一つで、前職で新ブランド立 ち上げの仕事にかかわっていた時にクライアント企業と行っていたエクササイズを思い出しました。)

教室の外では過去の受講生が作った パネルが展示されていました。いくつか紹介します:





②Multi-disciplinary / Collaborative dynamics
授業後にインストラクターに授業の一番のエッセンスを聞いたところ、最も強調し ていたのが「Multi-disciplinary」であることでした。異なるバックグラウンド、スキルセットを持った学生が集まる 中で初めてクリエイティブなアイディア、また包括的なビジネスデザインができるという言葉に大きく共感しました。

ま た、授業の大きな成功要因に、途上国にいるパートナーNGOの存在も挙げていました。パートナーを組んでいるNGOが、日頃の活動を 通して見えてきた現地のニーズや現在使っている製品の問題点などをあらかじめ的を絞って学生に伝えることにより、学生はすぐさまデザ イン思考のプロセスに入れるようです。プロジェクトの最終成果物も、まずはパートナーを組んでいるNGOを通じて現地での実用化の道を 考えるそうで、「現地からの情報吸い上げ」と「現地への製品提供」の双方向のコラボレーションがしっかりしていることが成功の秘訣と なっているようです。

③Practicality
もう一点、授業中繰り返しインストラクターが 強調していて、多少意外だったのが、「現実的であれ」というポイントです。
クリエイティビティという言葉から、ついつい「失 敗してもいいから好きに考えてごらん」という姿勢で臨むのかと思っていたのですが、インストラクターは授業中、繰り返し、「すでに世 の中に同じ製品があるなら、同じものは作るな。『買う』のがベストな解であることもある」「競合サーチを怠るな。100年前のアン ティークで実は必要な機能を満たしている製品をEbayで見つけて、それを改良したチームもある」「まずはパートナーを通じて製品を届けること を考えるように。ベンチャーを作ると、生産インフラから配達ネットワークまで一から作ることになって労力がかかる。」など と、「現実的に最も効率の良い解を考えるように」ということを強調していました。

デザイン思考のエッセンスの一つに「現実的で あること」があるそうですが、どこまでも、「どうやったらユーザーにとってのインパクトを最大化できるか」を中心に考えて いる姿勢の先に初めて成功するデザイン・ビジネスがあることを改めて実感しました。

もちろんこういった現実解を強調する一方 で、「リスクを自由に取れる環境」もばっちり用意されています。授業にはベンチャーキャピタル、弁護士、現地への旅行手配 などのサービスがしっかりついていて、実際にこれらのインフラを利用してベンチャー化したチームもいくつかあるようです。

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たっ た2時間の授業でしたが、途上国向けものづくりのエッセンスが詰まった、実り多い見学となりました。

Sunday, March 21, 2010

シンポジウムを終えて~私たちにできる始めの一歩~

3月20日のシンポジウムにご参加くださった皆様、休日にもかかわらず、足をお運びくださり、ありがとうございました。
皆様のおかげでとても実り多い会となりました。終了後の懇親会で、他分野の方々が熱心に意見交換されていたのが大変印象的でした。

さて、シンポジウムを終えて、一つだけ言い足りなかったと後悔していることがあります。
「適正技術教育の輪を日本にも」という掛け声の下、皆さん一人一人へ行動をとるよう呼びかけましたが、果たして「私にもできる気がする」と思えるだけの自信のかけらを与えられたかどうか、と。

第1部の質疑応答で、東京工業大学の学生さんが素晴らしい質問をしてくださいました。
「東工大では、ICT ChannelというサークルでD-Labと同じような活動をしている。しかしながら、学生団体なので十分なリソースのサポートもないし、卒論にすることもできないので学生の時間も割きづらい。D-Labはどのように始まったのか。またどこから資金をもらっているのか。」というものでした。

質疑応答中は時間の都合上、十分にお答えをすることができませんでしたが、「D-Labの活動は良くわかった。では、私たちはどうすればいいのか」という心の叫びが聞こえるようで、シンポジウム終了後も、ボストンへの飛行機の中も、ずっとその質問がつきまとって頭を離れませんでした。

今日はこの場を借りて、私なりの回答を書いてみようと思います。
D-Labは以前のエントリーにもあるとおり、2003年にEdgerton CenterでInstructorをしていたAmy Smithが始めました。初めてコースが開講された頃、私はMITに学部生として在籍していましたが、卒業する2006年まで、D-Labについてはほとんど知りませんでした。 Amy Smithについては、Genius Grantを受賞した2004年に、学内新聞で名前を見かけていましたが、その時の印象も、「へえ、大学内には不思議なことをしている人もいるんだ。」という程度の認識でした。
Edgerton Centerは日本で言えば工学部に併設された工作室、東工大でいえば、「ものつくりセンター」のようなセンターです。そのセンターのインストラクターといえば、いわば「工作室のおっちゃん」(いえ、Amyはおっちゃんではなかったわけですが)。D-Labは決して、華々しく工学部の新規コースとしてデビューしたわけでもなく、学長の戦略的教育プログラム拡張によって導入されたわけでもなく、大学の工作室の隅で、物好きな人がひっそり始めた、ひっそりしたコースだったのです。

そのD-Labは今や、MITのAdmissionのページでも宣伝されるほど、大学にとっての自慢コースの一つになっています。シンポジウムのプレゼンにもあったとおり、12クラスの授業は毎回すべて定員オーバーで生徒の選抜に苦慮するほどです。

どうしてそこまで広まったのか。様々な要因がありますが、本質的にはAmy Smithから始まったD-Labがその後、多数のインストラクター・パートナー団体をはじめ、新たな仲間を巻き込み、常に「オモシロイモノ」を生み出し続けてきたからではないかと思います。Joseが率いるInnovations in International Healthでは、構想段階のものまで含めれば、100以上の医療機器関連の開発が進んでいます。遠藤さんの教えている義足の授業には、MITで最先端の義足を開発するBiomechatronics Groupの知見が生かされています。D-Labからスピンアウトしたベンチャーの一つであるGlobal Cycle Solutionsでは、自転車動力の開発を授業のプロジェクトでとどめるのではなく、ビジネス上、持続可能な方法でアフリカ諸国に導入するやり方が模索されています。

もうすぐYouTubeにアップしますが、Joseや遠藤さんのプレゼンは聞いているだけで、「一・理系人間」としてわくわくしてしまいます。こんな授業があったら受けてみたい、と心から思います。私が今、MITの学部にいたら、間違いなく授業を受けていたでしょう。(現にハーバードから聴講しに行っているクラスもあります。)

・生徒が受けたいと思う授業が提供されている
・受講した生徒に、確かな教育インパクトが出ている(受講した生徒の「目の色が変わった」という声は方々から聞きます)
・授業からスピンアウトした技術が世界中のパートナーから必要とされ、喜ばれている

こんなプログラムを大学がほっておくはずがありません。
始まりのハコは、実はなんでもいいのです。要は、中身をどれだけ情熱を傾けて作りこめるか、なのだと思うのです。

ほかの大学の適正技術教育プログラムを見ると、驚くほどにどの大学でも、一人か二人の情熱あふれる人(+その熱烈な仲間)がプログラムを支えていることがわかります。
CaltechのProduct Design for the Developing WorldKen PickarというVisiting Professorが、Engineers for a sustainable worldという学生中心の団体(2002年にコーネル大学の大学院生だったRegina Clewlowが始めた団体です)とコラボして始めた授業です。
UC BerkeleyのDesign for Sustainable CommunityはAshok GadgilというLawrence Berkeley National Laboratoryという国立研究所のシニア研究員が2006年に始めたものです。
ミシガン大学機械工学部で始まったGlobal Health Design Specializationというマイナー専攻は、Kathleeen SienkoというAssistant Professorが中心になって立ち上げたものです。(彼女はMITでドクターをしていた頃にD-Labについて知ったようです。)
UC DavisのProgram for International Energy Technologiesというプログラムは、MITのD-Labの発展にもかかわっていたKurt Kornbluthが中心になって設立しています。

書いていくとキリがありませんが、言いたかったのは、今は華やかに見えるアメリカの適正技術教育のプログラムも、最初は、大学の隅っこで、みんなからCrazyだと思われていたかもしれない、(そしておそらくCrazyだった)情熱あふれる誰かの一歩から始まった、ということです。

始めるのに立場は関係ありません。学生だからといって萎縮することも落ち込む必要もありません。
誰にでも、最初の一歩は切り開けるのです。

日本でも、一緒に、「オモシロイコト」、始めませんか。

Friday, March 19, 2010

「大学」×「技術」×「BOP」シンポジウム いよいよ本日

いよいよ、シンポジウム当日となりました!若干名、当日受け付けることが出来る可能性がございますので、もしご希望の方は直接会場受付までお越しください。皆様とお会いできるのを、実行委員一同、楽しみにしております!

Wednesday, March 17, 2010

「大学」×「技術」×「BOP」シンポジウム 定員到達、レセプション申し込み開始のお知らせ

3月20日の「大学」×「技術」×「BOP」シンポジウム、非常に直前の告知にも関わらず多くの皆様に申し込み頂き、ありがとうございます。

現在、定員を上回る参加申し込みを頂きましたことから、キャンセル待ちフォームに切り替えております。最終的な参加可否については、シンポジウム前日までに全ての方にご連絡差し上げますので、ご登録ください。ホール定員との兼ね合いを見ながら、繰り上げるかどうか調整させていただきます。なお、参加申し込みが確定されている方には、メールにて本日ご連絡差し上げました。1人でも多くの方を会場にご案内するため、お手数ですが御都合が悪くなりました場合にはご連絡頂ければ幸いです。

なお、レセプションの受付を開始いたしました。シンポジウム終了後、お隣の部屋でサンドイッチとお飲み物による非常に簡単なものをご用意いたします。(費用は2000円となります)こちらは先着150名、発注の関係で18日(木)午後6時を期限とさせて頂きますので、ご参加を希望されます場合はお早めにご登録ください。

Wednesday, March 10, 2010

【シンポジウム】 「大学」×「技術」×「BOP」 - 日本発、世界を変えるイノベーション

3月20日のイベント詳細が決まりました!多くの方に我々の活動を知っていただく機会になればと願っております。参加申し込みはこちらからお願いします。皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

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貧困を始めとする、地球規模の様々な社会問題の解決が求められている中で、世界のトップ大学を中心に「技術」と「国際開発」を組み合わせた実践的教育が注目されています。技術立国を目指し、世界の課題解決を使命とするわが国でも、グローバルリーダー育成、実効性のある国際貢献、さらなる産学官連携に取組み、新たな理工学教育のあり方を世界に発信することが必要です。

本シンポジウムでは、その第一歩として、マサチューセッツ工科大学(MIT)の途上国開発に寄与する先進的講義(D-Lab)、そして日本の大学、産業界における取組みを紹介し、日本で進めるべき理工学教育・産学連携のあり方を考えます。詳細は下記のとおりとなっております。

ご多忙の折とは存じますが、是非ともご臨席をお願い申し上げます。


                     記

■イベント名
  「大学」×「技術」×「BOP」 - 日本発、世界を変えるイノベーション

■ 開催日時・場所
  2010年3月20日(土) 10:00 - 17:00
  政策研究大学院大学 想海樓ホール
   ※会場へのアクセスはこちら
   
■ 主催
  「大学」×「技術」×「BOP」 シンポジウム実行委員会

■ 共催
  政策研究大学院大学

■ 参加申込/お問い合わせ
  参加申込、およびイベント、その他のお問い合わせは、こちらのサイトよりお願いいたします。
  申込期限は3月18日(木)24:00です。
   ※参加費は無料です。
   ※定員(250名)到達次第の締め切りとさせて頂きます。

■ プログラム

 <午前の部> 10:00 - 12:00
   ・主催者挨拶
   ・基調講演 - William H. Saito 氏 (CEO, Intecur, K.K.)
   ・欧米のトップスクールにおける適正技術教育の広がり - 陸 翔 (ハーバード・ケネディースクール)

   第1部 MIT D-Labの取り組み
    モデレーター - 陸 翔
     ・D-Lab の概要 - 遠藤 謙, José Gómez-Márquez(MIT)
     ・D-Lab Health (医療機器開発)José Gómez-Márquez (MIT)
     ・D-Lab Prosthetics (義足開発) - 遠藤 謙 (MIT)

 <午後の部> 13:00 - 17:00
   第2部 日本の大学における取り組み
    モデレーター:高田潤一 氏(東京工業大学国際開発工学専攻長)
     ・エジプト日本科学技術大学 - ラメシュ・ポカレル氏 (九州大学助教)
・BOPを変革する情報通信技術 - アシル・アハメッド 氏 (九州大学准教授)
     ・ICU サービスラーニングセンター - 本郷好和 氏 (国際基督教大学准教授)

   第3部 産業界の取り組み、産学連携への期待
    モデレーター: 岡田正大 氏 (慶應ビジネススクール准教授)
     ・南アジアのソーラー灌漑電気自動車 - 金平直人 氏 (大手コンサルティング会社)
     ・ガイア・ソーラーランタンプロジェクト - 藤田周子 氏 (ガイア・イニシアティブ事務局長)
・ユーザーイノベーションを通じた途上国向け商品開発 -西山浩平 氏 (エレファントデザイン代表取締役)
     ・世界中の水をきれいに - 小田 兼利 氏(日本ポリグル会長)

   ・基調講演 黒川清 氏 (政策研究大学院大学教授)
   ・閉会の辞
 
 ※各部末では、質疑応答、総合討議の時間がございます。
 ※日本語/英語両方でのセッションを予定しています。
 ※講演者・タイトルについては、変更の可能性があります。

Tuesday, March 9, 2010

東京大学: AGSでのワークショップ

3月18日(木)のワークショップ詳細が決定しました!"Innovation for Sustainable Development" をテーマに、MITのD-LabからJosé Gómez-Márquez遠藤謙、東京大学のi.schoolから堀井秀之先生博報堂ユニバーサルデザインから井上滋樹氏Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne(EPFL)の建築学科からNing Liu氏に御講演いただきます。パネルディスカッションには、この分野の政策研究に詳しい鎗目雅先生にも加わって頂き、工学、教育、デザイン、建築、政策など様々な角度から、地球規模の社会問題へのイノベーションを増やしてゆくにはどうすべきか議論します。モデレーターはMITの言語学科教授でOCWの中心メンバーでもある宮川繫先生が引き受けてくださいました。

もしお時間が合えば、是非お立ち寄りください。出席には、AGS年次総会への参加登録が必要となります。会場は、医学部教育研究棟13階、第6セミナー室です、ワークショップは全て英語で行われます。イベントの詳細はAGSのホームページをご覧ください。

皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

Monday, March 8, 2010

Jaipurfoot Pooja Mukul氏のレクチャー

3月3日、Developing World ProstheticsはJaipurfootのJaipurのクリニックよりPooja Mukul氏を招待し、レクチャーをしていただいた。

9時から14時まではJaipurfootのクリニックでボランティアとして活動し、16時から21時まで自分のクリニックで医者として働いているアクティブな女性です。


彼女は2005年から今のように二足のわらじを履くようになりました。彼女のレクチャーはインドの現状や先進国との違い、我々のような大学機関に求めることなど、非常のおもしろい内容でした。そのいくつかを以下に挙げてみます。
  • インドの切断患者は先進国と比べて非常に若い。その理由が電車や車の自己(先進国では糖尿病)
  • Dr. Wu(Northwestern Univ.)のソケットを作る技術は根付かなかった。その理由は、結局トレーニングを受けた人が必要だったから。(使うのが難しい)
  • Jaipurfootにはアメリカからも患者がくる。その理由は、2つめ3つめの義足をつくるには、保険が適用されず、いいものが使えないから。
  • Jaipur footは98%の利用者が満足している。
詳しくはDWPのwebsiteの彼女のスライドをアップする予定です。

彼女はこの数年StanfordのD.schoolのJoel Salder氏と協力し、Stanford kneeという義足の開発を行ってきました。いわば、我々のライバルです。ただし、ライバルといっても本当に競争していわけではなく、協力して授業の内容を話し合ったり、 Jaipurfootの義足を改善していこうとしております。(ちなみにJoelは昔MITの学部生のときにD-labを受講した人物です。)
義足には、大きく分けてEndo skeleltonとExo skeletonの2種類が存在します。Endo skeletonは、骨の周りに筋肉が着いている人間の筋骨格系と同じように、義足の中心に体重を支える堅い素材を使うのに対し、Exo skeletonは外骨格をもつ蟹のように、外部に堅い素材を使います。Stanford KneeはEndo skeletonを採用し、われわれはExo skeletonと使うという棲み分けをしています。そのために、我々の義足をExo-kneeを呼んでいるのです。

現状では、Stanford KneeはJaipurのクリニックだけだが既に患者に配布されているのに対し、我々の義足は残念ながらNew Delhiのクリニック周辺で3名が試験的に使っているだけです。その理由は、設計した学生が卒業してしまい、プロジェクトが数年ストップしてしまったからです。。これは学生主体のD-labの問題点でもあります。今年は私自ら設計し直し、今年の夏の配布を目指しているところです。

次の日、Poojaと私のアドバイザーHugh Herrを引き合わせました。その理由は、Hughのようなばりばりの研究者にこそ、このような問題に目を向けてほしいからです。最先端技術にばかり偏りがちの大学の研究室ですが、彼のように力もお金もある人物が動けば、少しずつでも適正技術開発にも目を向ける研究者が増えるのではと期待しています。

Monday, March 1, 2010

3月18日、3月20日のイベント

最終案が固まっておらず公開出来ないのですが、現在3月18日と3月20日にも東京でD-Lab関係のイベントを開催する準備を進めております。全ての講演者、会場が確定しましたらブログにも投稿いたします。現段階では、手帳に「イベントがありそう」とだけ記載しておいてください。

3月18日は東京大学本郷キャンパスでAGS年次総会の一部として"Innovation for Sustainable Development"というテーマのセッションを開催する予定です(March 18, Workshop C)。時間は14:00-17:30となります。講演は英語で行われます。

3月20日は我々D-Lab Japan(任意団体)が主催で「大学発、技術を通じた地球規模の社会問題解決」をテーマにした一般公開イベントを開催予定です。時間は朝10時から夕方5時頃までとなりそうです。適正技術、大学国際化、国際貢献、産学連携、BOPビジネス、イノベーション、社会起業、理工系大学教育改革などに興味がある方には満足していただけるシンポジウムになると思います。日本語、英語両方のセッションを予定しております。

Saturday, February 27, 2010

Kopernik中村さん、Ewaさん来MIT

先日Kopernikの創始者である中村さんとEwaさんがMITのD-labを視察にいらっしゃいました。
Kopernikの中村さんとは依然からメールでやり取りをさせていただいていましたが、今回初めて直接会うことができました。


中村さんとEwaさんはD-lab DesignHealthを聴講し、私の義足のクラスではお願いしてKopernikの発表をしていただきました。学生も非常に興味深々で講義が終わった後も、Kopernikでのインターンに関して質問をしたり、持ってきていただいたライフストロー自分で調節が可能な眼鏡を手に取ってみていました。私自身も実物は初めてみたのですが、その完成度と価格の低さに脱帽です。

Kopernikは現在は、既に存在する製品の普及を主なビジネスモデルにしています。しかし、その裏の活動は実は多岐にわたっており、製品として売り出しているものは少ないが、ポテンシャルの高い技術、普及の初期段階の製品をいかにして世の中に広げていくかというモデルまで提案していただきました。このようなモデルはD-labのような教育機関に非常に有効です。さらには、D-lab DWPとKopernikの協力体制に関するアイデアまで提案していただきました。

今後ともKopernikに目が離せません。

Friday, February 26, 2010

D-Lab x 中小企業が持つ先端技術

こんにちは。
前回のポストにもあった遠藤さん、Joseの来日に合わせて、下記のイベントにお二人が参加することになりました!

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セミナー: 「途上国の問題を日本の先端技術で解決する」
~飛躍する日本のものつくり中小企業~

日時: 3月19日18:00-21:30
場所: 代々木オリンピックセンター国際交流棟第1ミーティングルーム

(申し込みは上記リンクよりお願いいたします)
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イベントを主催しているETICの皆さん、またETICをご紹介くださったKopernikの中村さん(D-Labにも協力いただいています)に改めて御礼申し上げます。

ほかにも18日、20日にD-Lab関連イベントを予定しています。
皆さんの出席を心よりお待ちしています。

Tuesday, February 23, 2010

D-Lab Japan Kick-off Events

MITのD-Labのスタッフを3月に日本へ招待することが正式に決まりました!D-Lab Healthを教えているJosé Gómez-MárquezD-Lab Prostheticsを教えている遠藤謙さんがメインゲストで、3月18日-20日に東京に滞在予定です。私(土谷)も彼らの来日に合わせ、東京に滞在する予定です。イベントの共催、ミーティングにご興味がある方がおられましたら、ご連絡ください。私のメールアドレスは(last name.first name)@gmail.comです。