シンポジウムから丸1ヶ月が経とうとしており、色々なところで徐々に国際開発を技術で開発しようという取り組みが日本からも少しずつ起こってきているようです。本ブログでも、色々な取り組みをご紹介できるようにしていきたいと思っております。皆さん、今後ともどうぞ宜しくお願いします!
さて、今週のThe EconomistにInnovation in Emerging Marketsに関して、14ページの非常に良く纏まった記事が出ております。さすがThe Economistだなと思わされる非常に的確に書かれた記事ですので、もし良ければ見てみてください。日本の自動車メーカーがアメリカの自動車メーカーを追い越した80年代、アメリカは「日本の成功は安い賃金と政府の補助にある」と考えていたが、蓋を開けて研究してみると在庫スペースの不足を強みに変え「リーン生産」というビジネス・イノベーションを実施していた。そして、「T型フォード」「トヨタのリーン生産」に次ぐ新たな流れが新興国から起こりつつある、と書いています。そして、今回の中印を中心とする新興国の勢いは日本が西側諸国を凌いだときよりも早く、規模が大きいことも指摘しています。その理由として1) 企業活動や人材が流動化していること、2) 日本の時のように自動車と電機産業だけではなく、殆ど全セクターで起こっていること、3) ボリュームがとにかく大きいこと(例:中印の電話会社は800-1000万人の新規顧客を毎月取り込んでいる)、4) 西側諸国の優良企業が新興市場のポテンシャルに気付いていることを挙げています。GEがバンガロールに世界最大の研究開発拠点を建設していること、GEのインドの過疎地の診療所向けに出したポータブル心電計Mac400がリバース・イノベーション(途上国の厳しい制約条件に適用するよう作られたものが、先進国でも売れる商品になる。クリステンセンの破壊的イノベーションと似たコンセプトだが少し異なる。)の一例としては有名です。これらの製品の特徴は、価格・動作条件の厳しい条件を徹底的に考え、そこに必要な技術を組み合わせて製品化に結び付けているところにあります。成長市場で売れるものは、成長市場の中で研究開発をする必要があることを再認識させられました。日本企業の研究開発は「日本人中心、国内集約」ですが、ここから途上国でのヒット商品を出すのはやはり無理がありそうです。スピード感も日本と成長市場では圧倒的に違うでしょう。ここで挙げられている例は私も知らなかったものがいくつかあり、なかなか面白かったです。
色々と読んでいて再認識したのですが、残念ながら日本企業の名前は一切出てきませんでした。世界のトップ企業500社(Fortune Global 500)のうち68社は日本企業であり、まだ世界経済に与える影響力はまだ大きいはずなのですが、成長市場で役割を果たせないということは徐々に影が薄くなってゆくということを意味しているのでしょうか。中国のBYDにオギハラの金型工場が買収されたり、韓国NHNにライブドアが買収されたりと、最近日本企業が徐々に欧米以外の企業に買収されてゆくニュースが増えている気がします。The Economistでも「リバースM&A」としてインドのHindalcoがカナダのNovelisを買収した例が出ていました。安定志向で日本の大企業に入っても、10年後の上司は中国人かインド人かもしれません。Infosys, ArcelorMittal, Embraer のような新興国発の大企業が増え、タタの自動車がアメリカの道を走る日も、そう遠くなさそうですね。
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