Saturday, February 5, 2011

Design Innovation Workshop in Pune

プネにあるCollage of Engineering Pune(COEP)という工学系の大学にて、MITメディアラボとCOEP共催でDesign Innovationという名のワークショップが行われました。このようなワークショップは以前にも台湾や韓国で学生主導で行われており、インドでもこのようなワークショップを行おうとしているときに、 COEPが名乗りをあげました。COEPではIITに続いて有名な大学らしく、Media labのRamesh Raskarがこの大学出身だそうです。

今回のワークショップでは合計10人のメディアラボのメンバーが参加しました。120人の枠に対して、800人以上のアプリケーションが届き、選考するだけでも一苦労でした。5日間の短期ワークショップでは、初日のデザインワークショップから始まり、Arduino, Android, Fablab, Matlabなどのチュートリアルを各学生が担当しました。デザインワークショップでは、スケッチを用いたディスカッションの手法を学び(この手法はこのクラスのマテリアルを参考にしました。)、その後バスステーションへフィールドトリップに行きました。そこで、学生たちが問題点をみつけ、それに対するソリューションを提案するところまでが、初日にタスクでした。



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バスステーションへのフィールドトリップ

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各チームによるプレゼン。現地に住んでいる彼らでさえ、クラクションをならしすぎるのは問題と思っている様子。一方で排気ガスによる環境汚染への問題意識はあまりない様子。


チュートリアルセッションでは、COEPのFablabスタッフであるSandip教授とVigyan AshramのFablabスタッフのVinayakと一緒にCOEPにあるFablabのModela, Shopbot, Lasor cutterといった加工機のの使い方を一通り教えました。

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COEPのFablab


そして、その後の3日間では参加学生の興味別に4つのトラックにわかれ、トラックのテーマにそって、プロジェクトを行いました。ぼくの担当するトラックは「Living with Machine」。このトラックでは、人間の機能向上を目指すH2.0のコンセプトに基づき、Fablabの施設をつかっていろいろテクノロジーのプロトタイプを制作しました。トラックの初日にぼくが紹介した事例が障がい者を対象にしたものが多かったためか、参加者も車いすや盲目の方のためのつえ、義手など、人間の失われた機能を補うためのテクノロジーが多かったです。チームごとにアイデアを考え、初日で学んだスケッチをつかったブレインストーミングやディスカッション方法、Fablabを駆使して、様々なプロトタイプが仕上がりました。

そして最終日には1000人以上のゲストを迎え、Exhibitionが行われました。ホールはあっというまに人に埋め尽くされて、他のトラックの発表をすべてみることはできませんでした。

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ものすごい数のゲスト

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点字のタイプライター。二つのパンチと紙を送るステッパーモータをつかった安価な仕上がり。

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持ち運びが可能ないす。これにGPS、加速時計、Arduinoをつけて消費カロリーを計算し、座るか否かを提案してくれるらしい。



Navigation Shoeのexhibition。Google map, GPSによって、くつの中に仕込んだバイブレーションモータが方向を教えてくれる盲目の方への技術。プロトタイプではLEDを仕様。


Wheelchairのexhibition。首の動きによって車いすを動かす機能。プロトタイプではマウスをハックし、センサとして使っていた。

今回、Fablabを使ったワークショップをしかもオーガナイザとして初めて経験することができ、本当に学びの多い機会となりました。Fablabはそれこそほぼすべてのプロトタイプをしかも素早く作ることができる環境です。Fablabの装置は扱うのが簡単で、しかも危険性もそれほど高くないため、短期間で使い方を習得することはできます。しかし、装置を使うことができるからといって、Fablabでのものづくりのスキルの習得としては、不十分だと感じました。そのほかにも、 自分たちのアイデアを短時間で、身のまわりにある材料のみをつかって、なるべく完成度の高いプロトタイプをつくるプロセスが重要になります。実際にMedia labでなにかものを作るときには、McmasterDigikeyなどを使って、ある程度のものがすぐに手に入る環境があるのに対し、Puneでは限られたものしか手に入りませんでした。それでも、今回のワークショップでは自分たちのコンセプトをFeasibleなプロトタイプアイデアまで落とし込み、機能的なプロトタイプを作る必要がありました。このプロセスを何回も繰り返し、問題点を取り除いていくことによってアイデアやプロトタイプに説得力が増し、イノベーティブなプロダクトが生まれるのです。ぼくにはPuneで手に入るものがどんなものなのか知らなかったし、そもそもCOEPのFablabにどんなものがどこに保管されているかも十分には理解していませんでした。ほかのスタッフは、加工機の使い方はもちろん、使いたいものがどこにあるかも知っていたので、プロトタイピングのプロセスが非常にスムーズでした。Fablabはその環境自体に注目が集まりがちですが、そのコアとなるコンセプトは、こういった地域に応じたものづくりと世界のFablabとのつながりが機能してこそ、可能性が広がるのだと感じました。

現在JaipurにFablabのような義足を作るための環境を構築しようと画策しています。Fablabはすばらしいものづくり環境でありますが、しかし一方で、自由度は低く、テストに耐えうる義足をつくることは難しいと思うのです。Fablab創設者のNeil Gershenfeldからは他のFablabとコンパチブルになるように気をつけろといわれている一方で、Jaipurfootの創設者D.R.MehtaからはLasor cutterとかよりもCNCのほうが使えるというようなこともいわれています。おそらく作る対象のプロトタイプのレベルが食い違っているので、これをどうやって落とし込むか悩ましいところです。

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