越田です。
慶應義塾大学でのD-Lab授業第二回の報告です。
今回の授業は、MIT D-Labでも授業の導入などで扱われている世界の現状に関するクイズ形式で行われました。
・一日1ドル以下で生活をする人は何パーセントか。
・世界中でどれだけの人が安全な飲料水を手に入れられないか。
・アメリカ、インド、メキシコ、ハイチで1000人あたり何台のPCが存在するか。
・アメリカ、中国、ブラジル、ハイチで都市に住む人の割合はどれくらいでしょうか。
などなど。
全く考えたこともないような問題に頭を悩ませる学生たち。
直感、想像、勘、ロジック、知識を駆使していろいろな問題に答えてもらいましたが、実際の世界の現状は学生たちの想像していたものと異なり驚く場面も。
例えば・・・
・レソトの平均寿命は1990年(57歳)に比べて、2006年ではHIV感染などが原因で35歳まで下がっているという事実。
・5歳以下で死亡する子供の主な原因は、マラリア、衛生などよりも、燃料燃焼や換気不足(つまり簡単な技術、対策で対処可能なこと)による急性呼吸器感染症であること。
・IT大国のイメージのインドでも、PCを保有している人は本当にわずかだけ(1000人あたり7台)。
・ブラジルやメキシコでは、都市に人口が集中するも仕事がなく、都市がスラム化しているという現実。
改めて、このような世界の現状について考えた学生たち。世界は自分たちが想像していたものと異なっていたか。途上国の現状は、自分たちが想像していたものとどのように違ったか。自分たちはどれだけ恵まれていたか。自分たちは世界のその現実にどのように貢献できるか。
授業最後では、これからの途上国開発やBOPに関する説明。
「援助」から「投資」へという世界の動き。
先進国市場向けの技術開発、先進国内での消費、それによる経済成長というサイクルで回っていたものに、途上国での生産、消費が加わり、途上国も含めた経済成長を目指す動き。
BOP(Bottom of Pyramid)ビジネスにより、ピラミッドはいつか逆ピラミッドになるのか?
(学生からは、「逆ピラミッドにはならない。上と下が広がる鋳型のようになるはず」という意見も)
そして、途上国における開発支援と女性の自立を目指した、ヤクルトのヤクルトレディに見られるような、日本企業の途上国開発への取り組みの紹介。
株主利益を優先し、株価の上昇を目指す従来(欧米?)型の企業経営の限界が注目される現在、古来から商売とは「売り手」「買い手」「社会」の幸福につながるものでなくてはならない(近江商人)と考えてきた日本人がBOPビジネスのような新しい価値観が注目される時代に果たせる役割とは何か。
世界の課題について改めて考え、その現実(のほんの一部)を知り、その中で日本人、日本企業が果たせる役割、可能性について学んだ90分でした。
来週は、いよいよ実際に途上国で学校建設などを営む活度をしている、遠藤啓太氏の登場です!
Sunday, October 10, 2010
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